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2008/01/28
 2008/01/28 復活メルマガ第十二弾


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■□    CRIメルマガ 『セントラル事業再生レポート』
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   ≪事業再生と敗者復活〜再生相談4000件の相談現場レポート≫
         
発行:株式会社セントラル総合研究所
http://www.sodan.info/
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現場レポート
 『プレパッケージ民事再生編』〜其の四〜


 振り返れば、今シリーズで扱っているH学院が民事再生の申請をしたのは
ちょうど1年前のことでした。当時はバブル型経営が破綻し、社員も講師の
先生方も生徒たちも路頭に迷う一歩手前だったのです。

―――あの日から1年―――

 私たちターンアラウンド・マネージャーが再生に乗り出し金融機関が協力
してくれたことで、結果的に離反した生徒はわずか1名だけ。社員と講師は
収入も仕事も確保され社内は活気に溢れています。民再前と今を比べると、
まるで別会社です。このH学院の再生はどんなステップで行われたのか。
今回はその軌跡をお話ししましょう。


「皆さんが目の前の業務をどうこなしていけばいいのか、私には答えはあり
ません。皆さんの声を聞くだけです―――」

 07年春、H学院の再生を目指して新社長として赴任したS氏は、集まった
社員に対してそう語りかけました。S氏はすでに千葉県のお菓子メーカーや
都内の運送会社等でのターンアラウンドの実績を持っています。穏やかな表
情の紳士ですが、とかく落ち込みがちな再生企業の人心を鼓舞することにか
けて定評があります。

 まずS氏が取り組んだのはこの会社の「鉱脈」探し。それまでH学院は創
業オーナーからのトップダウンで全てが決まってしまい、経理もどんぶり勘
定でした。S氏は部門別会計制度を徹底し、どこに会社の強みがあるのかを
調べたのです。

 また社内の淀んだ空気を一掃するために、社員たちには業務報告書の提出
を求めました。トップとボトムの直結ラインをつくり、様々な提案を吸い上
げたのです。そして幹部会では積極的に若手社員からの提案を採用しました。
 それまでH学院内には、「どうせ何を言っても駄目」「会社が全て決めて
くれる」という倦怠感が蔓延していました。まして給料遅配が続き民事再生
申請となると、離反する社員がいてもおかしくない状況です。新社長として
送り込まれる人がまず何を言うか。社員たちは戦々恐々として注目していた
はずです。

 その中でS氏はコストカットを言う前に、H学院の強みを周知させ、「皆
さんのアイディアで社を再建しよう」と訴えたのです。毎日昼食を社員と一
緒に取り、社員目線で社の方針を語り続けました。その中で、強みの一つと
わかった通信教育の分野でアイディアが出てきました。

「iPodを使った商品を企画したらいいのではないでしょうか」
ある日、一人の若手社員が「従来のCDよりも価格を押さえられる」とiP
od化を提案してきたのです。

「できるかどうか、まず当たってみましょう」。
S氏はさっそくプロジェクトチームを立ち上げました。社員一人一人に「自
分たちの意見が経営に反映される」ということを訴えたかったのです。社内
が見違えるほど活気づいてくるのに、それほど時間はかかりませんでした。

 その一方で、新任の広報担当者は「民事再生企業」というイメージを半年
で覆すことを目標にイメージ広告戦略を徹底。経理担当者は社内の経理情報
をオープン化。社員のモチベーション・アップを目指しました。また、債権
放棄をお願いした取引先には、支払いサイト短縮の約束をして従前と変わら
ぬ取引をお願いしました。

 もともとH学院は、バブル期の過剰債務の返済がなければ黒字経営できて
いた企業です。債務を圧縮した上で社員のやる気と取引先の協力があれば、
再生は約束されています。

 あとは友好的な新スポンサーをみつけて、経営を安定させること。

 ターンアラウンド・マネージャーの最後にして最大の仕事はそこにありま
す。それも、この再生ペースならばあと半年で実現できるのではないか。私
は今、そう確信しています。



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