メールマガジン


2008/05/07
 2008/05/07 復活メルマガ第十九弾


□■□                          
■□    CRIメルマガ 『セントラル事業再生レポート』
□                
   ≪事業再生と敗者復活〜再生相談4000件の相談現場レポート≫
         
発行:株式会社セントラル総合研究所
http://www.sodan.info/
■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

新しい資金調達の時代へ 〜其の壱〜

中小企業の経営者にとって、経営の永遠の課題の一つとして、「資金調達」の問題が
あります。2月度の全国企業倒産件数は、3年連続で前年を上回るという悲惨な状況に
なりました。その裏には「金融機関から融資が出にくくなった」という資金調達の問
題があります。
そこでこのメルマガでも4回に渡って、中小企業の資金調達をテーマに書いていきたい

と思います。

1、金融機関からの融資の担保が変わり始めた

これまで、金融機関からの融資を引き出すためには不動産が最大の担保とされてきま
した。金融機関は債務者の経営状態よりも所有する不動産価値を重視し、それに対応
して融資額を決めてきたのです。けれど地価の下落が続く今、この担保だけでは融資
は成立しません。また、不動産だけに頼っていたのでは、有力な新事業への融資も滞
ってしまいます。
そこで最近になって活用されてきたのがABL(アセット・ベースド・レンディング
=流動資産担保融資)です。
皆さんも「在庫担保」という言葉を聞いたことがあると思います。各地の金融機関は、

その地域の特色を生かした、あるいは市場で評価されているブランド力のある「在庫」

を担保に融資をするようになりました。
例えば海が近く漁業等の融資先が多い横浜銀行では、「冷凍マグロ」を担保とした融
資が行われました。仙台に本拠地を置く七十七銀行は「牛肉」、山陰合同銀行は日本
海で採れる「ズワイガニ」、北海道銀行は「ワイン」といった「地元の特産物」が担
保評価を受けて融資が成立した実績があります。
この裏には金融庁の指導があります。08年4月からの金融検査のチェックリストの中に、

ABLへの取り組み状況も入ったのです。
金融庁は「地域密着型金融」の観点から、地域の金融機関に対して「ABLへの積極
的な取り組み」を課題としています。関係者からは「この取り組みが不十分だと金融
庁から尻を叩かれる」という声も聞えてきます。その影響で「えっ! こんなものま
で」というような在庫が担保になっているのです。
これは経営者にとっては朗報です。これまでは商品やサービスが売れても、資金回収
までに時間がかかりました。だからこそ資金調達が経営課題だったわけですが、在庫
担保融資が実施されれば、それもずいぶん楽になります。
弊社では、ある老舗漬け物企業で「梅干し」を在庫担保として融資を引き出すことに
成功しました。この企業では毎年6月に梅を大量に仕入れなければならないのですが、

この資金が足りませんでした。そこで事業面での各種リストラ等も行った上で、仕入
れる梅を担保に借入を起こしたのです。この方法は見事に成功しました。
とはいえ、通常ABLは金利が高く、返済期間も短いものがほとんどです。また、担
保評価の基準も曖昧で、チェック体制にも課題は残ります。
従って借りる側は、短期間で返済ができる見通しがあるケースで、高金利にも耐えら
れる財務体制が求められます。また貸す側は、在庫状況のチェック等をこまめに行わ
なければ、回収が不能になる恐れもあります。
ABLは新しい融資制度です。債権者と債務者が協力し合って、より堅実な制度にな
るように、育てていきたいものです。


■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■セントラル総合研究所公式ホームページ
  ⇒ http://www.sodan.info/

■セントラル総合研究所代表八木宏之著書
  ⇒ http://www.sodan.info/publication/book/

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
 発 行 元: 株式会社 セントラル総合研究所 
⇒ http://www.sodan.info/
       ※事業再生実務家協会 法人賛助会員
 発行責任者: 八木宏之 
 お問合せ、ご意見、ご感想は以下にお願いいたします。
   E-Mail: info-melmaga@sodan.info
--------------------------------------------
 購読のご登録・解除:http://www.sodan.info/mailmaga/
  「まぐまぐ」からの購読のご登録・解除
  http://www.mag2.com/ (マガジンID: 0000125536)
--------------------------------------------
■■    無断転載、複製を固く禁じます。      ■■
□□(C)Central Research Institute,Inc. 2004-2008 □□
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓