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事業再生の現場から

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(5)雨天の友を得よ

「雨天の友を大切にしたい」とは、鳩山前首相が辞任前日、首相補佐官であった中山義活氏に語った言葉です。この言葉こそ、鳩山政権に限らず、全国の中小企業経営者に届いてほしいと願ってやみません。

逆境のときに支えてくれるのは
年商40億円規模の食材メーカー、A商事ではある日突然こんな異常事態が発生しました。「社長、財務担当のM役員と連絡がつきません!」社長は業界の社交に専念、職人気質の副社長は現場での生産しか注目していなかったA商事のなかで、M氏は財務を一手に引き受けていました。そのM氏が雲隠れしたとなると、翌月の資金繰りすら、皆目見当がつかなくなってしまいます。さらには、A商事がM氏の経営する別法人の債務の連帯保証までさせられていたことも判明したのです。
結局、A商事は民事再生を申請して再スタートを切ることとなりました。経営者がしっかり自社の財務状況を把握してさえいれば、行う必要のなかった民事再生です。
酷な言い方ではありますが、社長、副社長共に、財務面に注意を払わず、業務をM氏1人に丸投げしていた結果と言えるでしょう。「人を見たら泥棒と思え」というのはあまりにも過激な例えかもしれませんが、人任せで安穏としている事業主は、自社の財務の綻びに気付くことができないばかりか、すぐそばにある資金調達のチャンスさえも見逃しかねないでしょう。
経営の順調な時期にはよい人材が集まり、大口の融資も受けられてさらに調子が上がるもの。ただし、状況が変わるや一変、金融機関も取引先も手の平を返し、有能な従業員が会社を離れていくばかりか、従業員の謀反により足元を掬われる…というケースも耳にすることは少なくありません。A社の例のように、中小企業においては、財務担当者や経理担当者が雲隠れしたり、社長の片腕であったはずの重役に下位従業員が扇動されて崩壊に至ったり、という事態も、実際これまでに何度も見てきました。
逆境のときに支えてくれる人物がどれだけいるかは、公私を問わず、その人物を量る重要な目安であると言えます。

ところで、この「雨天の友」とは「日本史上最もクリーンな総理大臣」としても名高い三木武夫氏の言葉とも言われています。「政治とカネ」と騒がれる昨今、三木のようなクリーンな政治家の活躍も望まれます。

[2010.6.30配信]

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