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事業再生の現場から

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(7)連帯保証から資産を守る

主債務者と連帯保証人が一枚岩に
事業再生を始める際には、不動産や事業のデューデリジェンス(DD)を行うと同時に連帯保証人の対策を練らなければなりません。金融機関が真っ先に調べ、押さえてくるのは不動産です。自身が連帯保証人になっている場合は、まず自分の資産状況を調べます。登記簿謄本で担保状態を調べ、譲与がある場合はその不動産を担保に借入を起こして無剰余にしておきましょう。
不動産の名義を移すのもひとつの手段ではありますが、金融機関から請求が来た後にこれを行うと詐害行為と見なされてしまいます。第三者に任意売却し賃貸で利用するなど、よく考えて行動しましょう。
大変なのは、知人など親族以外の第三者に連帯保証人になってもらっているケースです。主債務者が約定どおりにきちんと返済している段階であれば、残債の3〜5割を支払えば連帯保証契約の解除交渉ができたという例もありますが、返済が滞るほど資金繰りに窮する段階では、もはやその余地はありません。
基本的には、残債を全額返済するか、保証の限度額を全額支払わないと連帯保証契約は解除してもらえないのです。この場合、最も大切なのは主債務者と連帯保証人の関係が「一枚岩」であることです。主債務者は経営状況を連帯保証人に逐一報告し、あらかじめ資産の保全を図ってもらいましょう。
ほかの金融機関で借入を行って連帯保証を外す場合は、大手金融機関や地銀などの中小企業向けビジネスセレクトローンが扱いやすいでしょう。借入期間も短かく担保も第三者保証も不要です(ただし代表者の連帯保証を求められます)。
「借りた金を借りた金で返す」というこの方法は、決してお勧めしませんが、相保証している企業が倒産して莫大な債務をダブルパンチで背負うことにもなりかねません。
中小企業の経営者は、地域内や同じ業界内でお互いに融資の連帯保証人となる「相保証」をしていることがあります。昨今はどの企業も倒産のリスクを抱えているため、もし相保証をしているのであれば、前述のように金融機関と交渉して早めに契約を解除するか、各自で資産の保全に取り組むべきです。

連帯保証制度の見直しは事業の審査の厳格化に
連帯保証の問題はこれまで多くの中小企業経営者を苦しめ、場合によっては自殺にまで追い込む悪しき制度と言えます。しかし、これまで連帯保証制度に頼ったまま安易に融資契約を行ってきたのは、債権者も債務者も同様です。金融機関は、融資を申し込んだ主債務者の返済能力よりも、信用力のある連帯保証人を求めがちな面がありました。債務者の側にも、「連帯保証人さえつければ融資条件はクリアできる」という安易な思惑もあったのではないでしょうか。
連帯保証制度が見直されるということは、債務者の事業内容や返済能力の審査がさらに厳格化するということでもあります。金融機関の顧客選別も進むかもしれません。これに対処するには、担保や保証人に依存せず、事業そのものを厳しく見直す自立した姿勢が必要です。

[2010.7.30配信]

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