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事業再生の現場から

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(8)企業再編で事業を守る〜会社分割その1

主債務者と連帯保証人が一枚岩に
過剰な債務から事業を救い出すための主な方法として「会社分割」と「事業譲渡」があります。この二つの違いについては、資本を分けるのが会社分割、事業を分割するのが事業譲渡と考えると理解しやすいでしょう。
会社分割は、簡単に言えば1つの会社を二つ以上に分けることです。手術で体から悪い部分を摘出するように、事業再生の現場では黒字事業と赤字事業を切り離す手法として用いられることが多くあります。
例えば、全国に100店舗の支店を持つ企業を再生する場合、東日本に所在する60店舗と西日本に所在する40店舗に分割して、新たに設立した新会社に業績の良い東日本(あるいは西日本)の店舗の経営を移管する、という方法。これは資本で分けるため、会社分割となります。対して100店舗のうち10店舗だけを購入したいという人が現れた場合、必要な部分だけを譲渡し、その代金を支払ってもらうという方法が事業譲渡です。

会社分割は、債権者の同意なしに黒字事業を別会社に移すことができるため、比較的短期間で再生が可能となります。金融機関などの債権者は、残った赤字事業から債務を取り立てることになり、黒字事業は債務とは離れて、悠々と経営を続けることができるのです。

会社分割には次の二種類があります。
@新設分割…事業の一部または全部を、新たに設立した会社に移転する。事業再生においては、黒字事業と赤字事業を切り離し、設立会社に黒字事業を移転するときに活用する。
A吸収分割…新しく会社を設立するのではなく、既存の会社に事業を承継する手法。黒字事業を他社の同種の事業を営む部門に吸収させるため、合併に似ている。

さらにこの新設分割と吸収分割それぞれに「分割型(人的分割)」と「分社型(物的分割)」があります。この二つは、移転する事業に対して新たに発行する株式の割り当て方の違いによるものです。
@分割型(人的分割)…移転する事業に対して発行する株式を、元の会社の株主に割り当てる。事業の承継会社と元の会社との資本関係は遮断されることとなる。
A分社型(物的分割)…移転する事業に対して発行する株式を、元の会社そのものに割り当てる。承継会社と元の会社との資本関係は維持される。
つまり、会社分割はこれらの組み合わせによって、「新設・分割型」「新設・分社型」「吸収・分割型」「吸収・分社型」と、大きく四つのパターンに分類されるのです。

[2010.8.18配信]

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