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事業再生の現場から

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(9)企業再編で事業を守る〜会社分割その2

利益は出ているが
二代目社長が率いる商社であるM社は、小規模とはいえ、特殊な業界に特化した専門工具や機械も扱っていることで、業界の中ではとても高い評価を得ていました。その分野では確実な営業利益を出しており、表向き経営が順調に見えていたのですが、実は、先代からの負債が経営を圧迫しており「黒字倒産」の危機に瀕していたのです。
借入の担保となっているのは社屋と社長宅の土地と建物。金融機関からの売却要請は日毎に激しくなっており、日々の業務にも支障を来すようになっていました。
倒産してしまえば、担保となっている不動産を失うばかりではなく、類似商品の無い特殊工具をM社から仕入れている多くの顧客が困ることとなります。

利他の精神で挑む
大きな責任を負ったM社社長のS氏は、コンサルタントに相談する際、こう言いました。「なんとかして、従業員の生活とお客様のための事業を守りたいのです。そのためならば、私は代表を辞任してもかまいません!」その言葉を受け、M社では社長の右腕といわれる従業員を代表とした新会社の設立を計画し、他社において類似品の扱いがない専門工具・機器の仕入れと販売事業を新会社へ移管しました。
担保物件は失ったものの新会社で社屋を購入することにより、事業継続が可能となりました。さらに、S氏の自宅は新会社で購入し、S氏は家賃として賃料を払いながら自宅に住み続けることができたのです。
こうして、S氏は「社長」という肩書きは失ったものの、事業を守り、自宅に住み続けることができたのです。現在、新会社の一社員として取引先回りに奔走しているS氏は「利他の精神」で再生に力を尽くしたことで、周囲から寄せられる信頼は以前より増しています。

必ず再生するという意思が大切
 企業が債務超過に陥った際、十年以上前ならば、一部の事業が黒字であっても、企業全体が赤字であれば「倒産やむなし」とされたり、倒産に至らずとも「本業でない分野はできるだけ切り詰める」という考え方が主流でした。
しかし、意外なところに道が開けることもあります。営業利益を生み出している事業であれば、廃止するのではなく、新しい会社に移すことで、健全な状態で運営でき、更なる事業拡大も可能となるのです。

[2010.9.2配信]

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