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事業再生の現場から

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(21)モラトリアム適用企業必読!「節税」脱却で中小企業海外へ行く

企業努力が分かる決算書づくり
今年の決算において、特に黒字化を意識してほしいのは、モラトリアム法を適用して金融機関へリスケジュール(条件変更)を行っている企業です。リスケジュールの申請の際には、そのリスケジュールによってどれだけ事業を好転させるかという改善計画を提示しているはずです。その計画を実行できているかどうか、リスケジュールに応じている金融機関は厳しくチェックすることでしょう。
もちろん、昨年と比較して増収増益、猶予を受けた分以上の利益を上げていることが望ましいことは言うまでもありません。ただし、今期赤字に終わっているとしても、内容によってはしっかり金融機関を納得させることができます。そのためには、決算書の中で改善への途中経過が見えることが大切です。たとえ売上高が下がっているとしても、利益は増えている、あるいは、販管費などの経費を押さえ利益率が上げているなど、申請前より経営改善のための取り組みを行っているこが見えるような決算書を作りましょう。
家計に置き換えてみましょう。収入が減っているのに毎晩外で飲み歩いているのでは家計の破綻は必至。昼食を外食から手弁当にしたり、毎晩の晩酌がやめられないのであれば、缶ビールを発泡酒に変えたりという節約が必要となります。企業の会計も同様。赤字が改善できていないにもかかわらず経費を抑える努力も見られない決算書では、リスケジュールに応じてくれた金融機関から「この1年間何をしていたんだ」と、とがめられても仕方ありません。いま一度、前年と比べてよくなったところを探してみてください。

黒字決算で納税者の誇りを
黒字が出ているのであれば、自信を持ってそれを示してください。「節税できる決算書を作れる経営者こそ賢い経営者」という考え方はいまやナンセンスです。度を越した節税は、企業の命取りにもなりかねません。金融機関による融資先の信用格付けの厳格化により、節税のために利益を低く抑えているような企業は、この格付けの低下することで融資が受けられなかったり、貸し剥がしにあったりする危険があるのです。
法人税を節約しようと税理士に高い報酬を支払って「節税決算書」を作ってもらったにもかかわらず、その決算書が原因で大切な信用や融資を受けられなくなってしまっては元も子もありません。また、経済産業省・中小企業庁関連の今年度補正予算案には、資金繰り支援を中心に、海外展開支援、転業を含めた新規事業活動支援、地域商業活性化などが盛り込まれています。決算書で業績の改善を示すことにより、これらの補助金を受けて、技術を磨いたり新しい分野に参入したりと、事業の可能性を広げることもできるのです。目先の節税に必至になるよりもずっと有意義ではないでしょうか。
赤字の企業は納税を1つのゴールとして目指し、黒字が出ている企業であれば納税者としての誇りを持って、新しい年度を迎えていただきたいと思います。

[2011.3.3配信]

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