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事業再生の現場から

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(23)「鉄板は残った」──海の町の復興焼きそば

漁船が山に泊まる現実
東日本大震災発生から半月あまり、宮城県の沿岸部で地元の海産物の販売店を経営している知人とようやく連絡が取れました。「魚もなにも取れないよ。なんてったって漁船が山に泊まっているんだからね」被災地の状況を伝えてくれる彼の口調はこちらを心配させまいとしてか、あくまでも軽妙ではあります。しかし、店舗も自宅も津波の被害に遭い、未だ隣の市に住む兄弟の行方がわからないとのこと。地元の漁業も再開の目途が立っていないことにより事業もできず途方に暮れている様子は痛いほどに伝わってきます。
彼の置かれた状況を思うと励ます言葉も見つけられません。少しでも力になりたいと、新聞の配達は途絶えたまま、電気などのライフラインの復旧も遅れているためほとんど世間の情報を得ていない彼に、事業再開のヒントになればと被災した中小企業に対する政府の対応や金融市場の様子などの情報を伝えました。
※経済時事ブログで日々情報を配信しています。 ⇒ http://www.h-yagi.jp/

焼き牡蠣から焼きそばへ
「命さえあれば何とかなると思っているよ。」と気丈さを見せる彼が「大船渡では”かき小屋”が、商品の牡蛎も無いから焼きそばを売っているぞ」と面白そうに教えてくれました。
詳しく聞かせてもらうと、隣の岩手県大船渡市の海産物販売店「大船渡おさかなセンター」で営業していた「かき小屋」が「がんばろう気仙!」を合言葉に復興を目指して一足早く営業を再開しているというのです。
かき小屋は、同市内の養殖漁家で構成されている大船渡湾水産物流通研究グループが開設したもので、「40分間かき食べ放題」という豪快なスタイルが評判で、メディアにも取り上げられたりしていました。昨年11月に「大船渡おさかなセンター」に移転、今年1月にリニューアルオープンしたばかりだといいます。今シーズンは4月17日までオープンする予定だったそうですが、今回の地震と大津波で養殖施設が壊滅。売り物の良質な牡蛎を提供することはできません。
それでも、「焼き牡蠣に使う鉄板は残った」と、地域復興への願いを込めて立ち上がり、3月22日に焼きそば販売を始めたというのです。

強い意志「何かやらないと」
物流もまだ整っておらず物資不足の状況にあり、焼きそばの麺は大船渡市内では入手が難しく、内陸の市街で仕入れて提供しているとのこと。
震災後、暦の上では春だというのに氷点下まで冷え込む日もある東北の海の町で、威勢よく声を掛け合いながらアツアツの焼きそばを販売する様子は、その場にいる人を奮い立たせる力があったのでしょう。「俺も、何かやらないと」と強い意志を見せる彼に、できる限りの協力を約束しました。

このメルマガを購読していただいている皆様、ご自身とご家族、お住まい、職場が被災されていないことを祈念申し上げます。また、何かお困りの方、被災された方には出来る限りの支援・協力をしたい所存です。関係者のご無事をお祈り申し上げますと共に、心よりお見舞い申し上げます。

[2011.4.5配信]

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