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事業再生の現場から

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(29)長寿世界一のニッポン、会社の寿命は何歳?

短命!会社の寿命7年に
昭和の終盤、日系ビジネス誌が唱えたことで一躍話題になったのが「会社の寿命は30年」という説。ところが、それから四半世紀余り経過した2009年、同誌で改めて分析されて出たのは「日本企業で約7年、米国企業で約5年」という結果でした。
社会のグローバル化、ネットワーク化など大きな変化を遂げた結果、ひとつの事業が利益を生み続けるスパンは年々短くなっています。近年の国内倒産件数を見ると、下記のように推移しています。

■企業倒産数の推移 ※()内は前年比
 2006年  9351件(13.7%↑)
 2007年 10,959件(17.2%↑)
 2008年 12,681件(15.7%↑)
 2009年 13,306件(4.9%↑)
 2010年 11,658件(12,4%↓)
 【帝国データバンク「全国企業倒産集計2010年版」より】

2010年は倒産件数が大幅に減少していますが、これは政府による「モラトリアム法案」や「中小企業緊急雇用安定助成金」などの政策が企業の延命を助けているものです。

これらの措置は「企業の倒産を先送りするだけ」と批判する声があることも事実。倒産件数の減少も一時的なものであると考えられています。とはいえ、中小・零細企業にとっては「生き延びる」ことこそが命題。しぶとく事業を続けて、雇用を守ることに意味があるのです。

老舗企業も安心できない時代
帝国データバンクの調査によると、企業の設立から倒産までの経過年数は、2001年の時点では約30年、2009年で約35年とのこと。最近のほうが伸びているという結果には驚きます。ただし、倒産件数が増加するばかりの状況は、安易に「長寿化」と喜べるわけではありません。近年の傾向として挙げられているのが業暦30年以上の長寿企業の倒産の増加です。

老舗企業は土地や建物などの固定資産を保有していることが多いため、かつては収益が上がっておらずともそれらを担保に金融機関から融資を受けることができました。ところが、融資の際の財務諸表など信用リスクと深い諸変数を算出するクレジットスコアリングの厳格化など、金融機関の融資基準が変化したことにより融資が受けられず倒産に至る老舗企業が増えているのです。
「老舗だから安心」とは言い切れないいま、中小企業が生き延びるための条件とは何でしょうか。次回、お伝えしたいと思います。

[2011.7.5配信]

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