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事業再生の現場から

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(31)節電の夏、赤字メーカー苦肉の策とは

震災ボランティア休暇も子供や介護が・・
「思い切って、ウチもやってしまおうと思うんです」。7月某日、中部地方の支援先:中延エレクトロ社(仮称)の廣原社長が深刻そうに口を開きました。
中延エレクトロ社は大手電機メーカーの下請けで電子基盤を作製する企業です。年々受注が減少し、社員はピーク時の半分まで減ったものの赤字続きで、より一層のリストラが必要とされていました。
それでも現在の従業員の雇用を守るためと、予ねてワークシェアリングを検討しており、東日本大震災発生後は「ボランティア休暇」を導入しました。しかし、従業員には小さな子供や介護が必要な家族と同居する人も多く、連休を取得してまで被災地へボランティア活動に出かけた社員は若干名に止まったと聞いています。

節電からシエスタ休暇導入企業も
実務での再生を目指していたものの、まさか遂に法的再生に踏み切る決断かとコンサルタントが緊張したところ「節電にもなるのは間違いないし、社員の同意も得られそうなので…」と続ける廣原社長。落ち着いて聞いてみると、電力消費のピークとなる午後1時から3時までの設備稼動を停止し、従業員には1日当たり1時間分の「有給休暇」を取ってもらうという内容で「シエスタ休暇」の導入を決めたとのこと。
電力会社の節電要請を受けて、自動車業界は木金休み・土日稼動という変則体制の実施を決定しました。この例は、業界全体が足並みをそろえるということで無事実施の運びになりましたが、中延エレクトロ社の場合は取引先との納品スケジュールの都合などもあり、そこまで大胆な切り替えは断念。その代わり「節電」を理由に、従業員に時短勤務を要請することができたのです。

お昼休みに家事と歓迎
昼休みを長く取り従業員の昼寝を容認するなどの「シエスタ制度」は、ベンチャー企業が採用するなどしてきました。日中に短時間の睡眠をとることでリフレッシュでき、生産性も上がるとの評判です。節電対策として取り入れる企業も出てきており、廣原社長は6月に「岐阜県庁で節電対策として7月から9月までシエスタ休暇」というニュースを耳にしたことがきっかけと語りました。
有給が目減りすることで従業員からの反感も覚悟したものの、この国難に会社を存続させるため(と語ったかどうかは定かではありませんが)概ね同意が得られたとのこと。さらには、従業員は全て地元採用の中延エレクトロ社、家庭を持つ女性従業員からは「昼休みに家事ができる」と思いがけぬ歓迎まで受けたそうです。
「もちろん私は昼寝なんかしてる場合じゃありません」と廣原社長は生真面目に語ります。「リスケジュールができている今のうちに新規受注で業績を回復したい」との意気込みを聞かせてくれた姿は夏の太陽よりもアツく、それでいて実にクールでありました。

[2011.8.4配信]

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