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事業再生の現場から

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(33)円高倒産急増!輸出を支える中小企業
   「円高対応緊急パッケージ」で海外市場獲得

円高に野田首相「断固たる措置を取る」
8月19日、円相場は1ドル=75円95銭と、戦後最高値を記録しました。夏休みを海外で過ごした知人は「現地での買い物が安く、得した気分」とホクホク顔で帰国。しかし、この歴史的な円高によって、国内では産業の空洞化の加速など、東日本大震災からの復興が妨げられる懸念も広がっています。
このほど内閣総理大臣に就任した野田佳彦氏は、菅政権下の財務相担当時から「必要とあれば断固たる措置を取る」という姿勢は崩していませんが、円高の長期化は避けられないと見られています。一部では「年内に60円台にも」との見方も出ている状態です。

M&A促進に1,000億ドル基金
政権交代直前の8月24日、政府は長期化する円高対策として金融機関・企業向けの1,000億ドル(約7兆6,000億円)の資金枠を設定する「円高対応緊急パッケージ」をまとめたことを明らかにしました。 ▼政府:円高を活用しM&A促進に1,000億ドル基金創設

1円の円高で数百億の減益
現在の超円高を利用し、1兆1,500億ドルの外貨準備高の一部の外貨資金を融通。日本企業による海外企業のM&Aや、天然ガスやレア・アースなどのエネルギー資源購入を促す呼び水効果を狙っています。
M&Aによって海外に市場を獲得することで、事業継続や雇用確保に止まらず、成長産業への参入や転業の可能性も広がります。
スタンダード&プアーズ(S&P)が米国債の格付け引き下げを発表したことにより、日本国内においても、超円高・株価全面安が引き起こされています。海外への輸出の多い企業においては1円、円高になるだけで利益が大幅に目減りするとあり、業績への影響は深刻です。大手企業の損が多額になることはもとより、輸出に軸を置く中小企業では「円高倒産」に追い込まれるケースも少なくはありません。

中小海外進出の追い風
 帝国データバンクの調査によると、日本国内の「輸出企業」は3万3083社。業種別では「製造業」と「卸売業」だけで全体の約9割に上り、年商規模別では「10億円未満」の中小企業が1万9494社で、全体の約6割を占めるとのことです。ところが、この中小輸出企業のうち業績が判明している企業のおよそ3割が、直近の決算では最終赤字となるなど、厳しい状況が続いています。
同調査のなかで、今年の円高関連倒産は8月14日の時点で29社に達しています。これまでの推移を見ると最悪を記録しているのは昨年平成22年の58件。昨年は1ドル90円台半ばから80円台前半まで円高が進みました。現時点ではこれほどには至らないと見られていますが、前年同月までの件数を2件(8%)上回り、ハイペースで推移しており、関連倒産が相次ぐ恐れもあります。

 現場としては「基金設立が遅すぎる」という不満が先に立ちますが、中小企業が独自の優れた技術を武器に海外進出を遂げるための追い風となってくれることを期待しています。

[2011.9.6配信]

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