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事業再生の現場から

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(47)サクラサク〜被災酒蔵、復興への新たな一歩!

染井吉野の短い寿命:中小技術に期待
例年より開花が遅れたとはいうものの、暖かさが増すにつれ、桜の便りも届いてまいりました。現在、日本の桜の主流となっている「染井吉野」は、江戸時代の末期に染井村(現在の東京都豊島区駒込周辺)の植木職人が品種改良を行って生まれたそうです。
われわれ日本人にとっては特別な花であるこの染井吉野の寿命は、交配品種の宿命とも言えるのかも知れませんが、他の在来種と比べて短く、60〜70年ほど。
つまり、戦後に植えられた各地の桜が現在、次々と寿命を迎えているのです。窓の外に揺れる桜を眺めながら、なんとか染井吉野の寿命を延ばしてもらえないものかと思案しているのですが、かつて一介の職人が後世まで称えられる素晴らしい品種を創り出したように、案外、巷の中小企業がその技術を生み出してくれるのでは…と期待しています。

確実に根付く復興支援意識のお花見
思えば昨年の今頃は、東日本大震災の直後。東京都の石原慎太郎知事が花見の自粛を促して物議を醸したという報道も思い出されますが、確かに被災地以外でも「酒なんか飲んでいる場合ではない」状態でありました。
あれから1年が経過し、公園などではつぼみがほころび始めたばかりの桜の木の下で大宴会をする光景も。とはいえ、被災地の復興支援という意識が消えたわけではありません。「意識して被災地の食品やお酒を購入する」という経済活動も確実に根付いていると実感しています。

復興への新たな一歩:「雪っ子」今期限りのプレミア品
日、知人の手土産で「雪っ子」という缶入りのにごり酒を頂戴しました。蔵元は東日本大震災で被災した岩手県陸前高田市の「酔仙酒造」。
同社は津波により社屋と工場、酒蔵を全て流失しましたが、昨年8月から内陸部の別の酒造会社の酒蔵を間借りして酒造りを再開しています。しかしこの春、元の所在地に近い同県大船渡市にて新工場建設の地鎮祭を実施したとのこと。今夏からまた、三陸の海を臨む地に再び製造拠点を復活させることとなりました。
つまりこの手にある「一関市」で製造された「雪っ子」は、今期限りのプレミア品となることでしょう。商品の性質上、長期間保存できるものではないのがいささか残念な気もしますが、この「雪っ子」で花見をしながら復興への新たな一歩を祝いたいと思います。

太平洋沿岸被災地6割営業再開:残る多くの課題
津波の被害が甚大だった東北の太平洋沿岸部では、被災した事業所のうち、この1年間でおよそ6割強が営業再開しているとのこと。とはいえ、本格再建に向けては人材や資金の確保が課題になっています。
二重ローン対策の遅れに加え、建築費の高騰や人手不足による建設工事の遅延など本格再建には課題が多いのが現状。われわれ事業再生コンサルタントの使命を改めて実感しています。

[2012.4.10配信]

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