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事業再生の現場から

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(50)「禁止」は「改善」をもたらすか?飲食業界脅かす「レバ刺し禁止令」

厚労省「食中毒防止でレバ刺し販売禁止」違反は2年以下の懲役

デフレ桜の開花がずいぶんゆっくりだったにもかかわらず、今年は平年より早い梅雨入りが報じられています。梅雨時は災害の発生しやすい時期でもあります。改めて危機管理を徹底して参りましょう。また、これから夏に向かい、いよいよ注意しなければならないのが食中毒による事故です。
厚生労働省の薬事・食品衛生審議会は、食中毒の防止に向け、レバ刺し販売全面禁止の規制案を打ち出しました。4月12日には内閣府:食品安全委員会がそれを了承。6月には、国内で牛レバーを生で提供することが全面禁止となります。違反すれば2年以下の懲役か、200万円以下の罰金を科す見込みです。

一部企業の不備が業界全体に影響
きっかけとなったのは、昨年4月に某焼肉チェーン店でユッケを食べた客5名が死亡した食中毒事件。肉の生食の危険性がクローズアップされたことにより、全面的に規制強化が行われました。一部の企業の不備により、これまで良品を提供してきた同業者、業界全体にも大きく影響が及んでいます。しかも、事件に直接関係したユッケは衛生基準が厳しくなったものの、引き続き提供は可能。その反面、なぜかレバ刺しがヤリ玉にあげられ、全面禁止に至るというのは、レバ刺しファンでなくとも解せない話です。
そもそも、食中毒事故の事例を見ても、牛レバーよりも生牡蠣などの貝類やキノコ類の方が圧倒的に多いのです。今回のレバ刺し禁止令は、消費者や飲食店に大きな負担を強いるにもかかわらず、規制の効果は、ごく限定的と言えるでしょう。

規制強化は業界抑圧
ちなみに、販売規制に先駆け、「レバ刺し風こんにゃく」などのもどき食品を販売し、業績を上げている企業もあるとのこと。これまで仏教文化のなかで精進料理が進化してきたように、新たな食文化誕生、新技術開発の期待が生まれます。
ただし、江戸時代の日本で肉食が禁じられていたなかでもこっそり「牡丹(猪肉)」「桜(馬肉)」などの裏メニューが存在したという事実もあります。現在も、猛毒を持つふぐ肝を提供する店は存在するとか。
今回の規制も、単に飲食店や食肉事業者を抑圧し、レバ刺しを「法を犯して、命を賭けても食べたい」というほどの珍味に祀り上げるだけのものとなり得る気がしてなりません。

[2012.5.24配信]

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