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事業再生の現場から

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(56)ABLで10億円調達のカゴメ/世界的な大成功のきっかけは過剰在庫の処理?!

トマト:メタボ体策に効果あり

動産担保融資 「今が旬のはずなのに、さっぱり安くならない」
この夏、買い物をする度に家人が零していたのはトマトの価格。夏野菜の代表であるはずのトマトが今年は一向に値を下げず、例年の倍ほどもすると憂いての言葉です。
背景にあるのは不作というわけではなく、空前のトマトブーム。今年2月に京都大学などが「メタボ対策に効果あり」と発表し、一時は加工食品も含め店頭で品薄になるほどの勢いでした。こうした健康効果を謳ったにわかブームは、日本では決して珍しくはありません。ところが、今回のトマトにおいてはただ事ではない様子です。
「メタボ対策」に続き、「血中アルコール濃度を下げる」「疲労軽減」等々、相次いでその効能が発表されたことによりブームは異例の長期化。生鮮のトマトもさることながら、トマトジュースなども販売好調が続いています。

カゴメ;トマトを担保に資金調達
トマトジュースでは国内シェアの半分を占めるカゴメの6月の出荷額は、商品供給が滞った東日本大震災時より前の時期に比べても約2倍の水準とのこと。
同社の株価はトマトブームにより急騰し、現在も高値を更新。同社は7月12日には今年度の利益が「過去最高となる見通し」と上方修正を行いました。
そのなかで一際注目されているのが海外事業の成長。4〜6月期決算においては、同事業の営業損益が前年同期から4億6,000万円改善しています。トマトはなんといっても世界的な需要がある野菜。その価値を認められ、9月中にも、原材料となるトマトを担保に10億円の資金調達を行うと報じられました。資金調達の幅を広げ、好調に推移している海外事業の充実を図るという狙いもあるようです。

大企業が中小向けABL活用
カゴメによるABL活用についてはブログにも記していますが、これまで国内では不動産や信用力を持たない「中小企業向け」と見なされてきたABLを、カゴメほどの大企業があえて利用するという点に注目しています。
▼ブログ:「トマト担保に10億円の融資!ABL活用で海外事業の成長狙うカゴメ/長期的な「トマトブーム」で株価も高値更新」

トマトのだぶつきがソースに
また、改めてカゴメという企業の成り立ちを調べると、大変興味深いものでした。明治32年、後に創業者となる蟹江一太郎がトマトの栽培を開始。それが数年のうちに豊作を見たまでは良かったものの、今度はトマトのダブつきに困り、その保存のために国産トマトソースの製造に踏み切ったのが始まりとのことです。
ちなみに昭和38年に改称された「カゴメ」という社名の由来は「籠目」とのこと。過剰在庫の良い受け口、と考えられなくもありません。この、余った材料の応用というアイデアを、最近個人的に気になっている「コメ余り」の問題にも応用できないものか。。。と秘かに思案している今日この頃です。

[2012.9.11配信]

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