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事業再生の現場から

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(61)あの有名企業がまさかの倒産!
  競争激化の通販業界〜ネットへの対応強化が明暗を分ける

過去最高売上の通販業界、日本直販が民事再生へ

日本直販日本通信販売協会によると、平成23年度の会員企業(131社)の総売上高は3兆2300億円に上り、過去最高を記録しました。非会員企業の売上高(推計)を合計すると5兆900億円とのことで、こちらも過去最高を更新。流通システムの進化と共に、通販事業の市場規模は、年を追うごとに拡大しつつあります。
ところが今月9日、「日本直販」ブランドのテレビショッピングで知られた株式会社総通(大阪府大阪市中央区内久宝寺町2-2-1/代表取締役:喜多俊憲氏)が民事再生の適用を申請したことが報じられました。その後100億円を超える債務超過や過去の粉飾決算なども明らかとなっていますが、部外者にとっては寝耳に水の出来事です。

ネットへの対応遅れが最大の敗因
「日本直販」は「高枝切りばさみ」などの大ヒット商品も世に送り出し、日本で知らぬ者はないほどの知名度を誇っています。ところが近年は、今や業界最大手の「Amazon」を始めとした海外通販業者の上陸や、インターネットの普及により、それまでカタログ通販が中心だった国内通販各社のネット参入、ネット通販専業の中小企業の進出など、競争が激化。
総通はテレビやラジオの番組提供のほか、新聞雑誌広告などでもおなじみですが、その広告費が経営を圧迫していたことは間違いありません。また、業界全体が成長著しいインターネットを通じた市場へシフトしていくなかでも、テレビCMによる商品紹介が中心のままで、ネットへの対応が遅れていたことこそが、最大の敗因であったとも指摘されています。

カタログからネットへ、高齢者の利用も増加
インターネット利用者が若者から60歳以上の高年齢層にまで広がったことにより、通販市場全体は拡大の傾向にあります。
通販協会によると、会員企業の媒体別売上高を平成7年度と23年度で比較すると、カタログが31.6%から22.3%に減ったのに対し、パソコンを通じたインターネットは15.0%から23.4%に増加。携帯端末を通じたインターネットも23年度は3.3%となっています。

通販サイト大手が支援、「日本直販」ブランド復活へ
総通は16日に、大阪地裁より民事再生手続きの決定を受けました。情報サービス受託のトランス・コスモス株式会社(東京都渋谷区渋谷3-25-18/代表取締役社長兼COO:奥田昌孝氏)が支援企業になることで基本合意しており、「日本直販」のブランド名を残し、通販事業をトランス・コスモスに譲渡する再建案が有力とされています。
通販サイトの構築から広告などの集客支援、コールセンター業務まで販促支援業務を一括して受託するサービスを手掛けるトランス・コスモスのノウハウでネット強化が成されれば、「日本直販」はさらに強力なブランドとなることが期待できます。

[2012.11.22配信]

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