初めての方へ資金調達債務返済、債務超過不動産リースバック

TOP > メールマガジン > 事業再生の現場から > (76)会社分割のメリット・デメリット

事業再生の現場から

メールマガジンで紹介しております「事業再生の現場から」を紹介しています。


(76)「会社分割」と「事業譲渡」その2〜会社分割のメリット・デメリット

会社分割 会社分割で事業承継、免許など許認可は
前回のメルマガでは、会社分割と事業譲渡の使い分けの判断は難しいとお伝えしました。
ただし、会社分割を使うと役所の許認可を得ることなく免許を継承できる事業があります。その一例を挙げてみましょう。

○届出すれば承継可能
登録電気工事業者、公有水面埋め立て免許を受けた者、倉庫業者、クリーニング業、金融商品取引業、興行場営業、アルコール製造業浴場業、飲食店営業、電気通信事業武器製造事業 など

○行政官庁による個別の承認が必要
旅館営業、国立公園事業者、発見倉庫業、中央卸売市場における卸売業者など

○あらかじめ行政官庁による個別の承認が必要
風俗店営業

○同一の行政庁から別途許可が必要
信託業、保険業、銀行業

債権者のと交渉が必要
これが「事業を守る」うえで非常に重要なポイントであることは言うまでもないでしょう。
しかし、債権者にとっては採算性のある事業が他の会社に移り、赤字部門と取引を継続しなければならないため、簡単に承諾できることではありません。
会社分割を行うタイミングを見誤ると「債務の返済を逃れるための詐害行為」と捉えられ、撤回を求められる恐れがあります。

債権者が害されることが問題に
近頃報道にも挙がっている「濫用的会社分割」も無視できない問題です。 会社分割は制度導入後、企業買収、企業再編および事業業再生等の手段として有効に活用されている反面、債務超過状態にある会社が優良事業、優良資産または一部の債務を新設会社(吸収会社のこともある)に移転することによって結果的に債権者が害されることがたびたび問題となっているのです。
平成17年の会社法改正後、会社分割の手法が濫用的に悪用される事例もみられ、債権者保護の立法課題が明確になってきました。

債権者に催告・公告を行わなくていい場合も
会社分割のなかでも、吸収分割と物的分割を組み合わせた方法であれば、債権者に催告・公告を行わなくてもいい場合もあります。
分割会社の資産のみが新設会社(承継会社)に移され、承継会社が分割会社に対価として株式を交付する方法です。
承継会社に資産のみが移転し、負債を引き継がないのであれば、分割会社の価値を損ねないと考えられます。
また、会社分割後も債権者は分割会社に対して、会社分割前と同様に請求できる場合は問題ありません。

会社分割は事業再生の実務においては不可欠な方法です。
これをスムーズに実行するためのポイントは、次回お伝えしたいと思います。

[2013.7.11配信]

ページトップへ