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事業再生の現場から

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(77)「会社分割」と「事業譲渡」その3〜会社分割の実践ポイント

会社分割 中小企業の事業再生において非常に有効な手法である会社分割。理屈としては単純ですが、実施する際にはいくつかのルールがあるので、ご注意ください。

≪会社分割の注意点≫
<契約書のなかに「旧会社の債務は受け継がない」と一文入れること>
これをしないと、債権者から新会社に債務を引き継ぐよう訴えられてしまう。

<分割された会社の社名や屋号、代表者を変えること>
変更しないと同じ会社と見なされ、債務の請求が新会社に行く可能性がある。

<従業員を全員新会社に移さないこと>
同じく、全員移ると同じ会社とみなされる。

会社分割をする時には登記が必要であり、その内容を裁判所が公示公告する手順となっています。公示公告から1カ月間は、債権者が異議申し立てをできる期間です。
会社分割をスムーズに進めるためには、事前に金融機関や他の債権者のコンセンサスを得なければなりません。債権者に異議申し立てをされると、計画が頓挫する可能性も出てくるのです。

そこで活用するのは債権者説明会です
債権者説明会は民事再生など法的処置を取る時に限らず、債務者主導の再生を進める時には定期的に開催することが望ましいでしょう。
債権者説明会において、金融機関は「赤字部門だけではますます債務の返済ができなくなるのではないか」と難色を示すかも知れません。しかし、リストラなどを基本とした再生策では、企業に信用不安が起き、金融機関にとってもマイナスとなるだけです。
債務者主導の事業再生に取り組む場合は、それとは全く反対の提案を行います。

返済原資を確保できる
黒字部門を新会社に移せば、債務が軽減するため新規借り入れが可能となります。もともと業績が良い状態で運転資金を調達できるなら、業績はさらに向上すると考えられます。その利益を債務の返済に充てれば、金融機関も安定した回収を続けることが可能です。

赤字部門が復活する可能性がある
会社分割後に、赤字部門が息を吹き返すケースも多くあります。黒字部門に頼っていたのが、切り離されることで危機感が生まれ、社員が必死の営業や販売を始めて業績が回復するのです。
劇的な回復は望めなくとも、赤字がない状態にまで転換できれば、黒字部門の力を借りずに債務の返済を行うことも可能です。

以上の2点を柱にして、金融機関にとっても利点があることをアピールすれば、同意を得やすくなります。
「債権者と顔を合わせるのはなるべく避けたい」とお考えの方も多いかも知れませんが、事業再生において主導権を持つには、逃げ隠れせず、正面切って前向きな提案を行うことは大変効果的なのです。

[2013.7.25配信]

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