初めての方へ資金調達債務返済、債務超過不動産リースバック

TOP > メールマガジン > 事業再生の現場から > (80)「東北版シリコンバレー」目指すILC誘致計画

事業再生の現場から

メールマガジンで紹介しております「事業再生の現場から」を紹介しています。


(80)経済効果は30年で45兆円!「東北版シリコンバレー」目指すILC誘致計画

会社分割 「ヒッグス粒子」の次は「未知の素粒子」を解明
ご存知の方も多いかと思いますが、いま日本で「ヒッグス粒子に続く」とも言われる未知の素粒子を探すための国際共同実験施設を誘致する動きが広がっています。
国際リニアコライダー(ILC:International Linear Collider)と呼ばれるこの施設は、宇宙の成り立ちの解明を目指す世界最大の実験施設で、世界の物理学者たちが中心になり、国際的な協力で世界のどこか1か所に建設することを目指しています。
「リニア」は「直線」、「コライダー」は「加速器」という意味で、地下に全長30kmに及ぶ直線状の巨大加速器をつくり、現在達成しうる最高エネルギーで電子と陽電子の衝突実験を行う計画です。

実験施設:日本の候補地は北上山地
ILCを巡っては、日本をはじめ、スイス、アメリカ、ロシアの世界4か国が候補地とされています。
日本では、福岡県と佐賀県にまたがる「脊振山地」と、岩手県の「北上山地」の2か所が名乗りを上げていましたが、研究者組織ILC戦略会議は8月23日、ILC誘致候補地に北上山地を強く推すとの結論を発表。
これまで両地域の自治体が主導して誘致合戦を続けてきましたが、地下施設建設のために直線50kmを確保するにあたっての安全性や建設コストを比較した結果、北上に軍配が上がりました。
実現すれば日本では初めて国際共同研究の拠点となり、日本が新たな「科学技術立国」を目指す契機になると期待が高まります。

リニアコライダー製造に雇用53万人創出
公共財団法人日本生産性本部は6月、日本にILCを建設した場合、30年間で約45兆円の経済効果が期待できるとの試算をまとめています。
ILC製造で得られる雇用が延べ53万人、製造による直接の経済効果(1次効果)が12兆1300億円、製造した加速器を利用した産業活性化(2次効果)が32兆6000億円と弾き、2次効果では工業や医療、農業などの分野で経済規模の発展につながると指摘。

1兆円の財政負担に政府は及び腰
ただし、財政負担は総額1兆円超という巨額の試算から、現時点で政府は誘致に及び腰の様子です。
施設や装置の開発では日本の最先端の技術力を発揮でき、産業振興の起爆剤になることも期待されるILC計画。地元では市民レベルの活動も活発化、ILCを核とした「東北版シリコンバレー」構想にも沸き、東北復興を賭けた取り組みに発展しています。
どうかこの流れに棹差すべく、ILCを科学技術政策に位置づける調査研究への積極関与を求めたいものです。

[2013.9.10配信]

ページトップへ