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事業再生の現場から

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(82)「真の赤字」を見誤るな!粉飾決算の罠

会社分割 「社長さん、決算書を見る限りでは御社は黒字のようですが──」
セントラル総合研究所に事業再生の相談に訪れる経営者には、必ず直近の決算書を持参していただいています。そうしないことには経営の実態が見えてこないからです。
ところがその決算書を前にしながら質問しても、答えられない経営者のなんと多いことか。

「銀行用に粉飾した決算書なんです…」
社長は現場肌で経理のことは疎い、というケースは少なくはありません。
ただ、実態はもっと根が深い。
「──すみません。これは銀行用に粉飾した決算書なんです…」
往々にして、赤字に悩む企業は金融機関対策として「粉飾決算書」を作っている場合がほとんどと言えます。これまでには、18の金融機関に18通りの粉飾決算書を作って差し出していたという例もありました。

どれだけ赤字が膨らんでいるか・・
経理担当者がいる場合、この作業は担当者が、時に罪の意識に苛まれ、苦心しながら行っていることでしょう。
そして経営者は、最終的に「黒字」となった決算書を見て喜ぶだけ。これが続いて、「黒字」の裏で、どれだけ赤字が膨らんでいるのかが分からなくなってしまうのです。
金融機関からの融資残高は分かっても、それ以外にあるはずの資産デフレによる「含み損」や、優良在庫に見せかけた不良在庫の量、回収不能の売掛金の総額などは見えなくなってしまいます。

粉飾しながらもなんとか資金繰りがついている間は「すぐ直せる」と安易に考えているかもしれません。しかし、それが立ち行かなくなってしまったら取り返しがつかなくなるのは言うまでもないでしょう。

自力再生無理なら民事再生も
事業継続を優先させたくとも、自力での再生が難しいと判断された場合、民事再生などの法的再生に切り替えることとなります。
民事再生を申請するには、金融機関などの債権者に粉飾決算の事実を公表しなければなりません。
当然、相手は顔色を変えて「これは犯罪だ」「どう責任をつるつもりだ」と責め立てることでしょう。
民事再生の大前提となるのは「債権者の同意」。粉飾をして債権者を欺き続けてきた企業がこれを得るのは非常に難しいことは想像に難くありません。

「真の赤字」を把握する
そんなドロ沼にはまる前に、まずは自社の決算書をしっかりと見ていただきたいのです。
目の前の債務とは別に、長年の粉飾のせいで見えなくなっている「真の赤字」が隠れているもの。その額をしっかりと把握しないことには始まりません。
経理担当者と一緒に、どこに粉飾があって。その裏には何が隠れているのかをしっかり見通す。
それが再生への第一歩となります。

[2013.10.8配信]

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