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事業再生の現場から

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(84)スッピン‐薄化粧‐厚化粧‐整形…止められない転落人生

会社分割 「今期はチョイ黒でお願いします」──。
決算の打合せの際、顧問税理士や会計士にこのような言葉を発してはいないでしょうか。
これは「赤字にはしたくない」、「かといって多額の税金も納められない」という意味。
他でもない「粉飾決算をしたい」というサインです。

融資のために黒字にすることは難しくない
金融機関から融資を受けるためには、決算書を黒字にしなければなりません。
これは実はたいして難しいことではありません。
たとえば、機械設備の減価償却をしなければ利益は増えます。原価償却とは、一定額まで「してもよい」と認められていますが、しなくても違法ではありません。
あるいは、不良在庫や不良売掛金を貸し倒れ処理せずに残しておくという程度の粉飾は、金融機関の担当者も「見て見ぬフリ」をしてくれているのではないでしょうか。
ところがこの「薄化粧」を何期か続けていって、ある年に売り上げが激減したりすると、本格的な厚化粧が必要になってきます。

よく使われるのは「架空在庫の計上」です
ありもしない在庫をあるように計上して利益を増やす。あるいは単純に、「架空売上の計上」というケースもあるでしょう。 最近の若い女性の間で「盛りメイク」なる言葉が使われています。化粧を濃くすることも話を大げさにすることも、同様に「盛る」と語られますが、決算書にも数字が盛られていくことになるのです。

厚化粧を始めた決算書には特徴が見られます
「売掛金」「棚卸資産」「未成工事支出金」「現金」「仮払金」「貸付金」などの項目に、多額の残高が残るようになるのです。
金融機関は、経営者に対する「貸付け」や「仮払い」という項目を嫌うので、これらの項目に数字を残さないようにするのが、厚化粧のテクニックとなります。
この症状が進行すると、いよいよ整形手術が必要となってきます。文字通り、決算書の改竄です。

粉飾、正直に申告することが得策
悪質なケースでは、メインバンクに指示されて粉飾をさせられる場合もあります。最も融資残高の多いメインバンクが、融資先に指示して他行に提出する
「整形」決算書を作らせ、それで融資を引き出して自行への返済に充てさせる、というパターンです。

「ブスだから整形しろ」「整形したら稼いで貢げ」
こんな無茶苦茶なことを要求する相手が生涯のパートナーとしてふさわしいわけがありません。
ここで「捨てられたら生きていけない」と要求に応じてしまうと、借金を返すために借金を重ねる破目に陥ります。
この抜け出せない粉飾のスパイラルの方が赤字よりも恐ろしいことを、経営者はどうか忘れないでください。

[2013.11.8配信]

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