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事業再生の現場から

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(95)対処遅れは命取り!経営者を苦しめる2つの消費税

消費税増税 消費税率が5%から8%となって、半月余り
早くも、増税に対応できず倒産する企業が出たことが報じられました。
新潟県のスーパー「河治屋」が破産を申請したのは3月19日ですが、消費税率に対応可能な新型のレジに買い替えることができなくなったのが大きな理由の一つであることから「消費増税がトドメを刺した、初の関連倒産」と見られています。

すでに資金繰りが厳しい企業にとっては、消費税増税とこの先に懸念される販売不振などへの対処の遅れが命取りにもなりかねません。
なぜなら、企業は仕入れ先にも税務署にも消費税を納めなければならないからです。

企業に関わる2つの消費税
これらは「支払消費税」と「受取消費税」として分類されます。支払消費税は仕入れ先や下請け企業などへ支払う金額に付加される消費税、受取消費税というのはお客様から受け取る消費税です。
企業は決算時にこの2つの消費税の差額分(受取消費税ー支払消費税)を税務署へ納めることが義務付けられています。

この場でも何度も繰り返しお伝えしていますが、税金は納めなければならないもの。
法律で定められた国民の三大義務の一つであることに加えて、企業にとっての消費税は、源泉所得税や社会保険料などと同じ「預かり物」であることを忘れてはいけません。

請求する消費税はあくまで預かり金
ビジネスにおいて売り上げが立つと、商品の本体価格とそれに対応する消費税額を加算して請求しますが、支払い時(振込時)にその2つの項目は一括して入金されるため、振込総額を「売上」と勘違いしがちです。
それを人件費や原材料の仕入れ代金に使ってしまえば、翌年の消費税の納税資金が無くなってしまいます。

珍しくなくなった企業の税金・社会保険料の滞納
企業の税金や社会保険料滞納はいまや珍しいものとは言えなくなりました。
事業再生の現場にいると、当座の資金繰りが厳しく「背に腹は代えられない」と使ってしまって、後になってから「困ったどうしよう」と頭を抱える経営者は非常に多いのです。

とはいえ、この段階で銀行に駆け込んでも無駄。金融機関は、消費税や源泉所得税の納税資金に対しては「預かっているものだから(自分で用意できているはず)」という理由で、1円も貸してはくれません。

たった3%乃違いでも実際には納付額1.6倍に
現時点では消費税増税も特に事業に影響ないと思っていても、油断は大敵。
前期と比べて「たった3%の違い」と捉える方もいらっしゃるかもしれませんが、実際には納めなければならない消費税の額が1.6倍になるということを考えると、呑気にしてはいられないはずです。

消費税8%時代が始まったばかりではありますが、10%へのさらなる増税ももはや避けられそうにはありません。
制度を変えることができないならば、定められた制度の下で最善を尽くし、より安定した経営を目指して参りましょう。

[2014.4.24配信]

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