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事業再生の現場から

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(99)エンジェル税制の注意点〜株式会社の原則「所有と経営の分離」の盲点

エンジェル税制 経営も軌道に乗り、事業拡大も検討していた社長が、「今日も頑張ろう」と張り切って出勤したところ、自分の椅子には「オーナー」として別の人間が座っていた──。

テレビドラマなどで見たことがありそうなシーンですね。
多くの方は、これを非現実的なものとお思いかもしれません。
しかし、前回までこの場でお伝えしてきた「エンジェル税制」こそ、やり方を
間違えるとこのような残酷な結果をもたらしかねないので、注意が必要です。

店経営者=オーナーとは限らない
日本の「株式会社」には「所有と経営の分離」という原則があることは、経営者ならばご存じかと思います。
「株主」を持つ株式会社という経営形態においては、「経営者=オーナー(大株主)」とは限りません。
例えば、前回ご紹介したフレンチレストラン開業のI氏が、会社の自己資本1,000万円を、自身を含め10人で100万円ずつ出資して用意していたとしましょう。
この場合は、I氏のレストランには開業の時点で10人の「オーナー」がいることになります。

知らぬ間に経営権が奪われる
ところが、その後の株式の売買によって社長であるI氏以外の人物が、全体の2分の1以上の株式を取得したとしたら、その人物が企業の実質的な所有者。
当初の経営者であるI氏が知らぬうちに、経営権を奪われる…というケースもあり得ない話ではないのです。
開業時に出資してもらうのが古い知り合いや信頼のおける恩人だとしても、このような可能性を見越して、確実に手を打っておくべきでしょう。

例えば、経営権を持たない「無議決権株式」など配当優先株として設定しておけば、投資家も会社経営にはノータッチ。
経営が軌道に乗れば、配当金によって喜んでもらえるはずです。

リスク回避も必要
とはいえ、ここで挙げたのはほんの1例に過ぎません。
エンジェル税制は中小企業や個人事業主のビジネスチャンスを大きく広げてくれる制度ではありますが、実際の事業への活用方法、リスク回避の具体策等については、やはり信頼できる専門家に聞くのが一番の近道です。
「出資してもらえる」
と安易に考えて手続きの確認を怠ると、思いもよらない痛い目を見ますので、充分ご注意ください。

[2014.6.24配信]

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