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バブル崩壊から現在までの再生関連法規の生成経緯
 再生法規生成の経緯

【住専の誕生からバブルの破綻まで】
昭和46年(1971年)から昭和54年(1979年)に住宅金融専門会社が8行設立された。
目的は当時、都市銀行が増加する住宅ローンニーズに出遅れていたため、住宅資金の安定供給と事務効率化などを目的に大蔵省(当時)の指導・要請により設立された。
母体行は都市銀行11行・長期信用銀行3行・信託銀行7行だった。住専は今で言うところのノンバンクであった。
1960年代においては経済は高度成長期であり金融機関(銀行)の融資対象は産業界に向いていた。1970年代安定期にはいると大手企業は資金を市場から得られるようになってくる。そのため1980年代には金融機関(銀行)は新たな借り手を捜すことになる。その対象はマイホーム志向の上昇で需要が伸びている個人住宅ローンだった。
くしくもこの市場をめぐり銀行対住専の構図ができるが、住専の母体は前述のように銀行であり資金源は母体行の銀行融資であることから当然金利面で太刀打ちできるはずがない。
そこで住専が活路をもとめたのが、事業者(事業会社)向け融資、不動産会社向け融資だった。住専が不動産会社に傾注していく、時はまさにバブル絶頂期であった。
平成元年(1989年)年末には日経平均株価は史上最高値38915.87円をつける。当時の政府は株価・地価と経済の実態とのギャップに対し強い懸念を示し本来の経済活動に見合う株価・地価を取り戻すため平成2年(1990年)4月「不動産融資総量規制」の実施をきめる。
この規制はある銀行の年間総貸出金額の伸びが15%であれば次の年の土地融資金額の伸びを15%に抑えなくてはならないというものだ。しかし結果は政府の予測をはるかに超えて株価・地価は急速に下落してしまった。土地・株の値上がりを期待してお金を借りた企業はこの時点で返済ができなくなり、かくて「不良債権」が発生したのである。

【住専処理】
住専不良債権の最終処理案は6兆4100億円の一次損失と1兆2400億円の2次損失に分けられた。一次損失では6850億円の財政資金(税金)の投入決定を平成7年(1995年)12月閣議決定している。平成8年(1996年)7月には住管機構が発足する。
平成10年(1998年)住管機構・債権回収銀行の不動産売却が活発化、競売手続き等の円滑化を図るための関係法律の整備に関する法律施行により民事執行法や不動産登記法が改正となる。この年金融システム危機の回避で13兆円の公的資金が投入されている。
そして経済自殺者は前年の3556人の約倍の6758人となる。この符合は単なる偶然だろうか?ちなみに中小企業金融安定化特別保証制度もこの年の10月にスタートした。

【産業活力再生特別法】
平成2年(1990年)「産業再生国会」において成立、10月施行された。同法は企業の合併や分割、営業譲渡、増資などによる中核的事業の強化を支援する目的であり、認定を受けることで税制や商法上の支援措置を講じて事業の再構築を円滑に行なうことができる。
民事再生法や会社更生法とは、これらが債権者間の権利関係を調整する法的手続である点で大きく異なる。大企業向けの法律のようだが認定の1/4は中小企業が占めている。
平成13年(2001年)緊急経済対策において不良債権処理が大きな問題となる。債権放棄により抜本的な事業再構築を行なう企業に対しての認定要件の運用が改正される。
平成15年(2003年)抜本改正により計画類型の追加や各計画の認定基準がさだめられ、認定計画への支援措置が大きく改正となった。税制の特例(5項目)、商法、民法の特例(7項目)、金融面での措置(2項目)その他独禁法の運用、企業再生ファンドの制度整備が行なわれる。また中小企業への支援策として中小企業再生支援協議会の設置を定めている。

【倒産法制の見直し】
平成8年(1996年)10月法務大臣から倒産法制見直しの諮問をうけて法制審議会は倒産法部会を設置、「現代の経済社会において合理的に機能し、公正かつ迅速な倒産処理手続の実現」をスローガンに破産法、和議法、会社更生法、商法上の特別清算および会社整理の倒産法制全体を5年計画で見直すスケジュールをたて、平成14年(2002年)春の前面改正をめざして作業に着手した。破産法は大正11年(1922年)ドイツ破産法を参考にそれまでのフランス法の影響が強かった旧商法破産法を改正して制定された。昭和27年(1952年)にはアメリカ法の影響の下に免責制度を導入する一部再生がなされている。
和議法は再建型倒産処理手続の基本法として破産法と同時に大正11年(1922年)、制定されているがこちらは当時最新のオーストリア和議法にならったものであった。
特別清算および会社整理は戦時下の昭和13年(1938年)商法に追加された。わが国独自の立法といわれていたがイギリス法の影響を受けているとの指摘もある。
会社更生法は昭和27年(1952年)にアメリカ法を範として株式会社のための強力な再建型倒産処理手続として新設されたものである。昭和42年(1967年)に大改正がされている。

【民事再生法の制定】
国際的にも倒産法の抜本的な見直しは近年の潮流となっている。
アメリカでは1978年(昭和53年)の連邦倒産法改正により、企業再建のための手段として新たに第11章手続き(いわゆるチャプター・イレブン)が制定されている。この手続きは従来の経営者の続投を認め、申立になんらの開始要件も必要とせずしかも申立に自動停止の効果を生じさせるなど債務者にとって利用しやすいものになっている。わが国の民事再生法制定にも大きな影響を及ぼしている。
平成9年(1997年)にはゼネコンでは東海興業、多田建設、大都工業、流通業ではヤオハンといった一部上場企業の大型倒産が続発。この年の11月三洋証券が会社更生法を申立たことを契機に金融機関に対する信用不安が高まり、北海道拓殖銀行の破綻、山一證券の自主廃業などが続き、わが国の経済の根幹が激しく揺れた。景況はさらに冷え込み、中小企業の倒産件数は増加の一途をたどる。この経済危機への対策として翌平成10年(1998年)3月には21銀行に公的資金約1兆8000億円が投入され4月には、政府与党の自由民主党は、土地債権流動化トータルプランを緊急提言している。このトータルプランのなかで倒産法の早期整備が喫緊の課題として挙げられた。 法制審議会はスケジュールを組みなおし平成13年(2001年)春までの改正案提出に1年繰り上げた。しかし、平成10年(1998年)当時の中村法務大臣から「中小企業が使いやすい、新しい再建手続の早期立法がひつようである」との指示がだされ再度スケジュールを組みなおし平成11年(1999年)中の成立を目指すことになった。法制審議会倒産法部会は「新再建手続」の要綱試案を短期間に集中的に繰り返し検討した。「新再建型手続」は 一時「債務調整手続」と仮称されたが最終的には再建型手続の基本手続としてふさわしい名称として「民事再生手続」と命名された。
平成11年(1999年)7月23日に「民事再生手続に関する要綱案」が確定した。その後8月26日法制審議会総会で「民事再生手続に関する要綱案」として法務大臣に答申された。
この要綱が法律として「民事再生法」が条文化された。本格審議をはじめてから要綱のとりまとめまでわずか1年と基本法の改正作業としては異例の早さであった。「民事再生法」はわが国の倒産法制全体の見直し作業の先陣を切って制定されたのである。同時に和議法は廃止された。

【個人版民事再生法】
平成12年(2000年)の秋の臨時国会において民事再生法の特則として小規模個人民事再生手続と給与所得者等再生手続が立法化され平成13年(2001年)4月施行となった。個人版の民事再生手続が整備されマイホームを守りながらの債務整理が可能となった。それまでは破産か任意整理かの選択肢しかなかった多重債務者にとっては画期的な法整備となった。

【会社更生法】
会社更生法は昭和27年(1999年)に制定された。アメリカ連邦倒産法第10章Corporation Reorganizationと呼ばれた強力な再建型手続があった。これと同様の手続をというGHQの要請に応えて立案された。その後アメリカ連邦倒産法の日本の会社更生に相当する手続は1970年代に大改正によりチャプター11になっている。
昭和40年代(1965年〜)になり、会社更生法は中小企業いじめの悪法論が高まり、昭和42年(1967年)には全条文の三分の一が改正された。その後ほとんど改正はなかった。
民事再生法、個人版民事再生、国際倒産法制につづき、会社更生法と破産法を並行して平成13年(2001年)から議論を重ねた。平成8年(1996年)に見直しを始めた当時は一部改正の見通しだったが全面改正となった。要因は民事再生法の成立・施行がある。使い勝手が悪いといわれた和議法が廃止となり民事再生法が施行されると利用件数は急増し迅速な処理が行われた。そのため重厚長大といわれた会社更生法も迅速性を重視することとなったのである。当初は小幅な改正を考えていた会社更生法は民事再生法と整合性をとり「改正検討項目」は10項目から55項目にもなった。かくして議論がつくされた結果国会で無修正成立となった。
迅速化に加えた改正会社更生法の特色は、更生手続中の個別の手続や制度の合理化、再建手法の強化となっている。

【破産法改正】
会社を整理する方法には法的整理と任意整理があり、法的整理は再建型と清算型に分けられる。前述の民事再生法と会社更生法が再建型であるのに対し、破産法は清算型の会社整理である。破産法は大正11年(1922年)に制定され昭和27年(1952年)に免責制度を導入するための一部改正がなされたが、その後は本格的な見直しがなされていない。今回80年ぶりに改正され平成17年(2005年)1月1日施行された。
これまでの破産法は手続きが厳格すぎて迅速性に欠けていた。また、利害関係人の権利関係の調整に関する法律が現代の経済社会に合致していないなどの不具合があった。これを、手続の迅速化、簡素化を図り蓄積された判例、実務の動向を条文化し時代に適合したものにした。
主な改正点は以下のとおりである。@労働債権の取り扱いが変わる。改正前は抵当権などの被担保債権、租税債権、労働債権の順であったが、労働債権のうち未払い賃金や退職金の3ヶ月分が租税債権と同順位に格上げされる。平成8年(1996年)住宅金融債権管理機構発足以来、のちの整理回収機構(RCC)において住管機構発足から当時社長であった中坊公平弁護士のもと、脈々と続けられてきた労働債権(給料)が金融債権(融資)よりも劣後になるという事例を覆すことができたのである。やっとサラリーマンの人権を守る法律が明文化されたといえよう。A手続の迅速化及び合理化B手続の公正さの確保 包括的禁止命令・保全管理命令等の導入などの保全処分の拡充C自由財産の範囲の拡張 破産者の手元に残される財産を66万円から、標準的世帯の必要生計費の3ヶ月相当分99万円とした。D親子会社や代表者破産の手続裁判所一体化、破産会社の役員責任査定決定の制度、また個人では、破産申立と免責申立の一体化、免責手続中の強制執行停止がある。
「破産法改正」はバブル破綻後の企業倒産や、個人破産の激増を背景に法務省が行った、「倒産法制」の抜本改正の総仕上げとなった。

【参考文献】
早期事業再生のすすめ  高木新二郎弁護士 商事法務
民事再生法 瀬戸秀雄弁護士 新日本法規
企業再生の実務 企業再生実務研究会 きんざい
新会社法の実務 事業再生研究機構  商事法務
住管機構 債権回収の闘い 中坊公平 ダイヤモンド社

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