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資金繰り支援
金融庁:資本性借入金の積極利用を推進!
DDSで劣後ローンに転換しBS・資金繰りを改善、新規融資へ
金融庁:金融機関へ資本性借入金を周知、利用を促進
金融庁は、過剰となった債務を短期的に解消するDDS(Debt for Debt Swap:債務の劣後化)を利用した資本性借入金の積極活用を推進するため、平成23年11月22日に「資本性借入金の積極的活用について」を公表し、金融検査マニュアルの運用を緩和して明確化。金融機関などに対し資本性借入金利用への説明会を開催し周知、活用を促します。
同庁では平成24年8月10日、全国の金融機関を対象に資本性借入金の活用状況について調査。平成22年度の活用件数は61件にとどまったものの、金融検査マニュアル運用の明確化により平成23年度には85件に拡大。資本性借入金を資本とみなせる条件を大幅に緩和したことにより、平成24年度には409件の活用が見込まれます。
既往借入金がバランスシートの資本金へ、新規融資の呼び水へ
資本性借入金とは、金融機関からの既往借入金を返済順位の低い「劣後ローン」に転換した借入金。金融機関が債務者区分を検討する際にも影響し、償還期間が5年超えなどの借入金を資本性借入金として資本とみなされます。債務超過であった中小企業が利用することで新規融資が受けやすくなるほか、バランスシート(貸借対照表)や資金繰りの改善効果が期待されます。
DDSの活用は、財務状況が一時的に悪化するものの、時間とともに改善が可能と見込まれる中小企業が想定されますが、新たな事業参入への資金調達の手段としても利用が見込まれます。
被災企業対策「震災対応型資本性ローン」、10年間自己資本が向上
平成23年には、東日本大震災で被災した中小企業向けに日本政策金融公庫が「震災対応型資本性ローン」の取扱いを開始。融資の限度額は、7億2,000万円、融資期間は10年の元金一括償還。同ローンを利用することで中小企業は、10年間自己資本が増えた効果がもたらせます。利用企業は、自己資本率の向上により民間の金融機関からの融資も期待できます。
震災の影響により資本が毀損している中小企業は、既往借入金をDDSで資本性借入金の条件に合致するように変更。震災対応型資本性ローンは、バランスシートを改善し復旧・復興を後押しします。
平成24年から中小向け金融支援は縮小傾向、緩和策として資本性借入金に期待
政府は、平成20年のリーマンショック以降、長引く円高や東日本大震災などによる甚大な影響から景気対応緊急保証や小口保証など中小企業向けの金融支援策を打ち出したものの、平成24年以降は縮小傾向にあります。平成25年3月末には、中小企業金融円滑化法が期限を迎え、資本性借入金はその緩和策として利用拡大が期待されます。
中小企業庁の「平成24年版中小企業白書」によると、中小企業向けの貸出残高は約246兆円。日本の中小企業数は約420社であり、平均すると1社当たり借入残高は約6,000万円。平成24年度の資本性借入金を利用した中小企業が400社とすれば約240億円が利用されていると推測できます。貸出残高全体からは微々たる利用に資本性借入金の周知が今後も重要となり、利用する中小企業の資金繰りを支援します。