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大興製紙が会社更生法を申請!負債総額140億円にレンゴーがスポンサー候補に
紙袋製造では国内トップシェアを維持
大興製紙は令和3年1月15日、東京地裁に会社更生法の適用を申請し、同日、監督命令兼調査命令を受けました。
大興製紙は、包装用紙向けのクラフト紙を主力事業とする製紙メーカーであり、パルプの原料のチップから紙製品まで一環して生産体制を構築しており、包装紙や産業用紙、クレープ紙など幅広く生産し、特に紙袋などに使われる未晒紙は国内ではトップシェアを維持していました。
昭和60年には、売上高が198億円上げていたものの、ペーパーレス時代を迎え、紙へのニーズの落ち込みや平成22年にはパルプ原料の高騰、将来売買を行うことをあらかじめ約束する取引であるデリバティブ損失が発生し、売上は悪化し、令和2年には売上高121億円に落ち込みました。
売上減少で事業再生・再建を断念
その後、固定資産除去損など特別損失が膨らみ、最終利益は5期連続の赤字となる18億円と業績悪化に歯止めがかからない状況が続き、金融機関へもリスケジュール(条件変更)を申請したほか、新型コロナウィルス感染拡大に伴う制度融資も活用しましたが、販売不振から事業再生できず、自力再建を断念しました。
負債総額は、債権者310名に対し約140億円に上りました。
この状況から大興製紙は、板紙事業大手のレンゴーと「スポンサー支援の検討に関する基本合意」を締結しました。
スポンサー・レンゴーはDIPファイナンスで大興製紙の営業維持
東京地裁による令和3年1月15日付けの弁済禁止等保全処分は、1月14日までに生じた債務のうち、50万円以下は弁済禁止の対象から除外され、今後の取引は、当面は毎月10日、20日、月末を締日とし、締日から10日後に現金支払いとなります。
レンゴーは、みずほ銀行や静岡銀行から、DIPファイナンス(Debtor in Possession:占有を継続する債務者)を受け、営業をそのまま継続し、再建を目指します。
コロナ関連の企業破綻は1,000件超え
新型コロナウィルス感染症関連の企業の負債1,000万円以上の経営破綻は、令和2年2月からの累計で1,022件に上り、月別では令和2年9月以降3ケ月連続で100件を超えています。
令和3年1月には、11都府県で緊急事態宣言が再発令され、対象地域では不要不急の外出自粛や飲食店などでは時短営業と消費停滞が懸念されます。
新型コロナウィルスの影響が1年と長期化し、中小企業の疲弊感は強まり、期限ある支援策頼りで営業を維持する企業も多く、経営破綻は令和2年度末(令和3年3月31日)を控え、企業破綻、会社更生法・民事再生法の申請が増勢する可能性が高まっています。
[2021.03.05更新]