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管理会計、導入の必要性
問題点、方向性を把握する
企業における会計には、2種類あり、いづれも経営に必要なものです。1つは、財務会計で株主や税務署などの報告に必要な会計。2つ目に経営管理のための管理会計があります。中小企業では財務会計は行っているものの管理会計に関しては手つかずであったり、資料を作成しているものの、財務会計とは違う部署でつくり両者の連携が取れていないのが実状です。管理会計の資料は、企業の利益を上げるために一番必要な資料で毎日、毎月継続することで健全な経営体制に建て直し、利益を出して黒字を迎えるための一番の近道といえます。
管理会計は原価や売上高、利益など製品別や部門別も含め、資料を作成。その資料をもとに経営者を含めた幹部が問題点、方向性などを決定する企業の経営判断の大切な資料となります。管理会計には、財務会計のように財務会計のような報告義務や法もありませんので企業独自で資料を作成することが出来ます。デューデリジェンスやBPRで会社の財務を把握し、無駄な工程を取り除き、スリムになって管理会計を導入すれば強い企業へ導くでしょう。
財務会計ではわからない情報
管理会計は、昨年からよく報じられるIFRS(International Financial Reporting Standards:国際財務報告基準)に関連しています。IFRSは日本でも平成21年6月に企業会計審議会は「我が国における国際会計基準の取扱いについて(中間報告)」を公表。一部の上場企業が任意で平成22年3月期より導入しています。IFRSの上場企業への強制適用は平成24年に導入時期が最終決定されます。
IFRSは、企業の財務諸表など経営陣が経営判断を行うための数字、情報を投資家へ開示するという考え方です。例えば売上が上がって利益も出している企業でも、その取引先に偏りがあれば危険ということがわかるものです。90%の売上を一社で賄っていれば、その企業からの売上が0になれば危機状態に陥るということになります。このような状況を投資家に知らせるためで、この考えは開示はしないものの社内経営陣で把握するという意味で管理会計はIFRSに関連しています。金融庁が強制的にIFRSを導入するのも企業にとって大切な資料であるためです。
定義のない会計
管理会計は財務会計で求められない情報を把握し、分析をすることが多くはっきりとした定義が決められていません。管理会計、財務会計が混在し運用しているケースがほとんどでしょう。コンピューターのクラウド化が進み、ERP(Enterprise Resource Planning:企業経営システム)パッケージにおいても管理会計が搭載し始められ、今後、財務諸表作成アプリケーションからの脱皮の傾向は進むと予測できます。
長引く不況、急激な円高で製造業が海外へシフトし、国内空洞が進む中、企業では利益を出す健全な経営体制を維持するため様々な視点から経営管理の情報を入手し、把握しなくてはなりません。管理会計の導入によって企業は、決算書では見えなかった経営管理情報を正確に把握し経営計画、経営戦略が立てられるのです。
[2010.12.29更新]