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事業再生関連法規制度等について

社内勉強会

中小企業金融円滑化法の最終延長を踏まえた政策パッケージ

リスケ240万件超え!実行率は9割以上

経済産業省内閣府、金融庁、中小企業庁は平成24年4月20日、中小企業金融円滑化法の最終延長を踏まえ、中小企業の経営改善や事業再生を促すため「中小企業金融円滑化法の最終延長を踏まえた中小企業の経営支援のための政策パッケージ」を策定し公表しました。
中小企業金融円滑化法は、平成20年のリーマン・ショック後に資金繰りが悪化した中小企業救済のため平成21年12月に施行。これまで240万件を超えるリスケジュール(条件変更)の申請に金融機関では9割以上と高い実行率で元本猶予など中小企業を支えてきました。


倒産延命、問われるモラルハザード:リスケ後倒産も急増

経営環境が悪化した中小企業はリスケジュールによって一時の猶予を受け、経営改善計画によって事業を立て直した企業がある一方で、改善が見られずリスケジュールを繰り返す企業や、倒産に至る企業も目立ち始めました。金融庁による最終延長は、本来は市場から退出すべき企業も延命させるなどモラルハザードを招く恐れもあるとして期限が区切られました。
平成23年度、中小企業金融円滑化法を利用後の企業倒産は247件判明し、前年度53件の約4.7倍に急増。同法施行からの累計も300件を超えました。


金融機関の長年の課題:中小企業への経営改善コンサルティング

公表された政策パッケージでは、金融機関に対し課題解決型のコンサルティング機能の強化が重点項目に挙げられました。金融庁では、同法の延長は「今回限り」としているだけに、実現可能な経営改善計画である「出口」を見つけることが中小企業に迫られます。
金融機関における中小企業への経営改善コンサルティングは長年の課題であり、労力や時間、コストもかかります。中小企業の数多くの業種に対応した知識やノウハウを生かしたアドバイスや、取引先などとの連携、事業再生のためのM&A(企業の合併・買収)など人員的に限界もあります。金融庁では、金融機関に対して抜本的な事業再生や業種転換、事業承継など判断を先送りにせず、外部機関など第三者的な専門家を積極活用する主旨を監督指針に明記するとしています。


地域金融機関と中小整備機構で「債権買取り」事業再生ファンド創設

政策パッケージには、企業再生支援機構や中小企業再生支援協議会と緊密に連携をとって事業再生を支援。さらに金融機関や事業再生の実務家、法務・会計・税務などの専門家、関連団体からなる「中小企業支援ネットワーク」を構築し中小企業を支援するとしています。
また、事業再生の支援機能の強化を図るため地域の金融機関と中小企業整備基盤機構が連携し、出資や債権買取り機能を持つ事業再生ファンドの創設を促すとしています。


リスケ実行の76%は地銀:中小救えば地銀も経営環境改善し地域も活性化

金融庁によると、平成23年12月末時点のリスケジュール実行件数の76%が中小企業を主要取引先とする地方銀行であり、機能を果たす役割は大きいと見ています。
地方銀行では、伸び悩む資金ニーズにゼロ金利政策による金融機関同士の低利競争。さらにネットバンク拡大により経営環境は順調とは言えません。地方銀行にとって中小企業の事業再生は自らの経営環境をも改善し、地域の活性化にも繋がります。これからの地方銀行の力が注視される1年となります。

[2012.4.27更新]

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