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リーマン・ショックの教訓、証券・保険業界への公的資金投入を閣議決定!
金融機関の安定化を強化
預金保険法改正し平成26年度施行へ
金融庁は平成25年4月16日、経営危機に陥った証券会社や保険会社などを公的資金注入で支援する預金保険法改正案や、インサイダー取引の規制を強化する金融商品取引法改正案を閣議決定。今国会での成立を目指し平成26年度からの施行を目指します。
平成20年のリーマン・ショックでは、米大手証券や保険会社の経営危機が世界の金融システムに深刻な影響を与えました。主要各国では証券会社なども対象にした金融安全網をつくることで合意しました。
金融市場に影響を与える経営破綻が起きれば、預金保険機構が資金を供給
日本の現行法では公的資金の注入は、預金を取扱う金融機関に限られており、金融庁では新たな安全網として対象を証券や保険、運用会社など金融商品取引業者へ拡大。金融システムに大きな影響を与える経営破綻など、金融市場全体に影響が及ぶと判断した場合には、預金保険機構が資金を一時的に供給し破綻を防ぎます。
預金保険機構は、平成8年の預金保険法の改正により業務内容を拡充。預金者の保護を図るため金融機関が預金など払い戻しを停止した場合、必要な保険金などの支払と預金などの債権買取りを行います。また、金融機関の破綻の処理では、破綻金融機関の合併などに対する資金の供給や金融整理管財人による管理、業務承継などを行っています。
バブル崩壊後の金融機関の破綻で預金保険料率は引上げられたまま
預金保険機構の預金保険料率は、バブル崩壊後に相次ぐ金融機関の経営破綻、再編を背景に上昇。平成8年には0.084%に引上げられ、平成17度よりペイオフが全面解禁になり、平成22年9月には日本振興銀行の経営破綻でペイオプが初めて発動。金融事故などの影響で、金利引下げは機構発足以来見送られてきました。
預金保険機構は、平成24年度に1年間を通じて金融機関の破綻や保険事故がなかったため、預金保険の料率を年度はじめにさかのぼり0.07%に引下げ、相当分の約1,200億円を民間の金融機関などに還付するとしています。料率の引下げは昭和46年発足以来初めてとなり、日本の金融システムの安定が裏付けられました。
金融機関は1年間破綻なし、料率引下げで金融機関へ臨時ボーナス支給
預金保険機構は、平成25年度も同じ還付方式を採用し、破綻などがなければ0.07%に据え置かれる見通しとしています。金融システムの安定により民間金融機関には1年遅れの臨時ボーナスが支給されることとなりました。
麻生金融相は、4月15日の信託大会で日本の金融システムは「健全で極めて安定」と評価。日銀・黒田総裁も「国際金融市場は不安定要素を抱えるものの、日本は安定性を維持」と述べています。中小企業金融円滑化法が終了し、リスケジュール(条件変更)を受けた8割以上が地銀や信金、信組で占められるなど、不良債権化への懸念が残るものの、政府はリスク体制の強化で金融市場の安定化を目指します。
[2013.4.19更新]