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経営者の個人保証に依存しない中小融資を促進!
金融庁、中小企業庁ガイドライン策定へ
「個人保証の在り方研究会」経営者の個人保証の基準を明確化
金融庁と中小企業庁は5月2日、平成25年1月から4月まで有識者を含め議論が行われた「中小企業における個人保証などの在り方研究会」についての研究会報告書を公表。中小企業向け融資で8割以上が使われる経営者の個人保証の基準を明確化するため、個人保証ガイドライン(指針)を策定する方針を示しました。
ガイドライン策定では、個人保証に依存しない融資を促すほか、個人保証額・契約の適正化が図られます。また、私的整理による事業再生を目指す場合、経営者の退任が原則でしたが、基準に適合することにより継続して経営することも承認されます。
個人保証ガイドライン:一律的な制限は中小融資の阻害にも
経営者の個人保証は、中小企業の資金調達にも寄与するため、一律的な制限は円滑な資金調達を阻害する恐れもあります。ABL(Asset-based lending:動産・売掛金担保融資)や金利上乗せなど個人保証の機能を代替する融資の構築が期待されます。
経営者による個人保証は、金融機関から見ると企業の信用力や財務力など情報不足による債権の保全などを行うためのツールとして機能しています。中小企業庁の金融機関実態調査によると、金融機関が個人保証を求める理由に「経営への規律付けのため」が83.4%と最も多く、「保全としての担保」は58.0%となっています。金融機関では、経営者のモラルハザードを最も重視した結果となっています。
個人保証:中小経営者の精神的負担4割超え
一方、個人保証がある事による中小企業経営者の負担は、「精神的負担」が43.2%と最も多く、「事業承継の難しさ」が26.3%、「融資が受けにくい」が16.9%と続き、これまでも指摘が根強くありました。
個人保証は、これまで企業の破綻で個人資産すべてが失いかねないと問題だった根保証については法改正により保証制限を導入。また、経営に直接参加していない親族や同業者などの第三者の連帯保証人は金融庁が禁止しました。
金融庁:ガイドライン策定時期は明言避け「なるべく早期」
金融庁と中小企業庁は今後、ガイドライン策定に向けた議論を行う有識者会議を設け、会議の内容を踏まえガイドラインを策定します。金融庁では、策定時期については「なるべく早期」と明確な回答を避けました。
個人保証に依存する融資は、先進国のなかでも日本だけです。今後は、中小企業自らが経営の透明性を高め、金融機関へ情報を開示、相談しながら経営課題を解決するしくみへ変わるため、ガイドライン策定が急がれます。
[2013.5.14更新]