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減少傾向の「倒産」に対し、増加に転じた企業の「休廃業・解散」は倒産の約2.4倍
倒産はリーマンショック後、4年連続減少
平成25年3月末に終了した中小企業金融円滑化法は、その後の金融庁の監督指針により金融機関へ対しリスケジュール(条件変更)や円滑な資金供給など、これまで通りの対応を要請。企業倒産件数は、リーマンショックのあった平成20年度を直近のピークとし4年連続で前年度を下回り、同法終了後の平成25年4月は過去最少を記録しました。
金融庁は、「円満な退出」との言葉を用いて地域の事業選択と集中、再編を進める可能性を示唆しています。金融機関ではコンサルティング機能を一層発揮し、ソフトランディングを目指すなか「休廃業・解散」を選択する企業は増加しています。
「休廃業・解散」件数は2.6万件、前年度から4年ぶりに増加に転換
帝国データバンクによると、平成24年度(平成24年4月〜25年3月)の企業の「休廃業・解散」件数は、2万6,050件と前年から4,2%、1,042件増加。企業倒産件数が1万710件と前年度から6.3%減少する一方で、「休廃業・解散」が増加に転じ、4年ぶりに前年度を上回りました。
全体の半数を占めた建設・サービス業
業種別の「休廃業・解散」では、建設業が8,522件と全体の32.7%を占め、サービス業が4,866件の同18.7%、小売業の3,991件の15.3%と続きます。サービス業のほか不動産業の1,513件は、集計開始以降、過去最多となりました。
一方、地域別では全9地域中、北海道と東北を除く7地域で前年度から増加。とくに四国は前年度比15,7%、北陸が同15.2%増、近畿が10.9%増と2桁の増加を記録。近畿や中国、九州は3年連続で前年度を下回っていましたが4年ぶりに増加に転じました。
「休廃業・解散」件数は国の集計対象外、水面下では倒産増加の懸念も
中小企業金融円滑化法により企業倒産件数は減少した一方で、国の統計対象外となる「休廃業・解散」を選択する企業は増加に転じました。アベノミクスの景気回復への期待から株価は上昇。大胆な異次元金融緩和により円高は是正され、輸出産業に業績改善が見られるものの、中小企業を取り巻く環境は依然厳しいことが伺えます。
中小企業など事業改善計画が進まず、市場において正当な競争が阻害されるなど懸念されましたが、平成24年度は、「倒産」より「休廃業・解散」を選ぶ企業が上回りました。
[2013.6.3更新]