TOP > 事業再生関連法規・制度等について > 社内勉強会 > ・MBOについて
MBOについて:種類、目的、メリットデメリット、事例
MBO(Management Buy-Out)とは
対象企業・事業部門の経営陣や統括責任者が社外の投資家らとともに出資をして当該企業・事業部門の買収を行い、買収後も同様の現経営陣の下で経営を行う買収手法のこと。現経営陣による会社買収である。
MBOの種類 買収の主体が誰か、目的は何かで違う
MBO | 現経営陣による企業買収の方法 |
---|---|
MEBO (Management Employee Buy-Out) |
MBOの経営陣に加えて一部の従業員も出資して買収を行う方法 |
EBO (Employee Buy-Out) |
従業員が会社を買収し、その後の経営を行う方法 |
MBI (Management Buy-In) |
買収対象会社の外部のマネジメントチームが買収対象会社あるいは買収対象事業を買収する方法 |
BIMBO (Buy-In Management Buy-Out) |
会社の外部から加わる新しい経営陣から新しい経営手法を導入しつつ、現状の経営陣と共同で買収及び経営を行う方法 |
具体的スキーム | 「株式譲渡方式」(会社全体)と「営業譲渡方式」(会社のある特定の事業部門を対象) |
MBOのメリットとデメリット
1.メリット
@簿外債務のリスクが少ない
A雇用の継続がやりやすい
B事業としてのリスクが少ない
C経営陣と従業員の間に一体感が生まれやすい
D日本人に馴染みやすい「のれん分け」の一手法である
E投下資金の回収とコア事業への特化が図れる
F労働組合の同意が得られやすい
G倒産などを回避することができる
2.デメリット
@経営体質の変革が進みにくい
A高価格での売却が困難
B前向きの投資が制限される
MBOを成功させるポイント
@キャッシュフローを重視する
A採算性及び継続性の高い事業を選定する
B買収価額の妥当性を十分に検討する
C強靭な企業体質を作る
D外部の専門家を活用する
MBOを成功させるポイント
日本体育施設運営 | フィットネスクラブ運営 | 形態 MBI |
---|---|---|
リクルートビルマネジメント | ビル管理サービス | 形態 MBO |
ニューコ・ワン | ビデオ・CDレンタル | 形態 MBI |
オリエント信販 | 主婦向けファイナンス | 形態 MBO |
ベネックス | 廃刊機材の製造 | 形態 MBI |
ダーウイン | 投資用ワンルームマンション | 形態 MBO |
インフォニックス | 通信事業 | 形態 MBO |
ユアサ商事食料 | 食材の開発輸入 | 形態 MBO |
福助 | 下着・ストッキング等製造 | 形態 MBI |
MBOの事例
出版社「幻冬舎」MBO実現までのプロセス | |
---|---|
2010年12月 | 幻冬舎は、見城社長が全株式を保有するTKホールディングスがMBOに向けたTOBを実施、58.17%の株主が応募してTOBは成立。 幻冬舎のTOB自体は成立しましたが、ケイマン籍のファンド、イザベル・リミテッドが株式を買い増し、保有比率は平成23年1月に37.4%に達する。 イザベルが議決権を行使すれば、定款変更のための特別決議は否決され、MBOは成立しない公算が高まる。 |
2011年1月 | 幻冬舎の株式を制度信用取引で取得したイザベル・リミテッドは、現物株を引き取らず、大半の議決権(35%程度)を持っていたのは信用取引を仲介した立花証券であることが判明。 臨時株主総会では、イザベル・リミテッドに代わって、立花証券が議決権を行使すのかが注視される。 |
2011年2月 | 幻冬舎は15日、臨時株主総会でMBOに必要な種類株式発行などへ向けた議案が可決と発表。 立花証券は総会を欠席し、議決権を行使しませんでした。イザベル・リミテッドは代理人弁護士が出席し反対票を投じる。実質イザベル・リミテッドが所有する株式は少数。 |
2011年3月16日、定款変更が承認され、MBOは成立となり、上場廃止になる予定 |
元日産の物流子会社「潟oンテック」MBO実現までのプロセス | |
---|---|
1999年10月 | カルロス・ゴーン日産COO(当時)の大号令 再建計画「リバイバルプラン」の一環として約1400社のグループ会社は4社を除き売却対象に |
2000年3月 | ゴーン日産社長より、奥野バンテック社長へ、バンテックの株式売却の通告 奥野社長のM&A研究がスタート コンサルタント会社数社へ出向き、MBOの知識を得る |
2000年6月 | 入札により、欧州最大のベンチャーキャピタル・英スリーアイと、日本興業銀行が共同出資するスリーアイ興銀バイアウツへの売却が決まる。出資額は約80億円。 奥野社長、取締役会の席上で、MBOによる独立方針を発表 経営陣の自己資金として約3億円が集まる。 興銀からの融資が決定。融資額は約70億円 |
2001年5月 | 新生バンテックの誕生 買収総額は約150億円 日産からの出向社員のうち約100人を日産へ帰し、従業員は2年前より約200人少ない約1700人に01年度の売上高は前年度比5.4%増の707億円営業利益は同93.3%増の19億円になる |
2004年度を目途に株式公開を目指す |
|
|
▼関連記事:ブログ・時事ウォッチ「MBOラッシュ:幻冬舎「出版社上場向いてない」/日証協会長「残念な傾向」! 」[2011.2.26]
[2011.2.16更新]