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法人税減税は歓迎、外形標準課税で穴埋めの可能性
法人税率32.11%から29.97%へ
平成28年度より法人税の実効税率が20%台に引き下げられることについて、産業界では景気刺激の意味からも歓迎との意見が多く聞かれます。一方,減税の財源として検討されている外形標準課税に対しては,中小企業への適用免除が要望されています。
安倍政権は、平成28年度より企業の利益に対する国と地方を合わせた法人税の実効税率を現在の32.11%から29.97%に引き下げる方針。また、引下げの実施時期も平成29年度から1年前倒しします。
資本金1億円以上の企業が課税対象
外形標準課税とは,資本金や売上高,土地の面積,従業員数などをベースに課税され赤字法人にも適用されます。平成16年度から資本金1億円超えの法人企業を対象に従来の所得割に加え,付加価値割の外形基準による課税が行われています。
外形標準課税が拡大されれば,赤字の中小企業にとっても増税の負担となります。法人税減税の効果で全体的にはいい影響を与える一方,外形標準課税の資本金が拡大されれば現実的には中小企業の負担となります。
適用されれば1社当たり161万円の負担
日本商工会議所の試算では、外形標準課税が拡大され中小企業にまで適用されると1社あたり161万円の増税となります。国税庁によると平成24年度、資本金1,000万円以下の中小企業は約216万社で、このうちの7割が赤字企業となっています。
現在、外形標準課税は全体の0.7%の1万8,999社にしか適用されていないのが実態ですが、外形標準課税基準が拡大されれば所得税や社会保険料も納める就労者の70%をかかえる中小企業には大きな負担となります。
大手企業が好調/中小企業好調にならない産業構造
外形標準課税は,企業が利益を出すか否かにかかわらず、一定の行政サービスの恩恵を受けていれば税負担をするという考えに基づいています。ただ、外形標準課税の拡大は赤字企業であればさらに税負担を強いるという意味で大きな問題となります。
大企業が好調なら中小企業も回復するといった神話はこれまで証明されてきていませんし、産業構造からなった試がありません。
[2015.12.7]更新