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事業再生の現場から

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(119)あの仕事までパート勤め?!ワークシェアリングの活用で経済再生を実現した成功例

不動産 国を挙げてワークシェアリングを推進
前回は従業員を辞めさせずに人件費を大幅にカットする方法として、日本の中小企業に「ワークシェアリング」が向いているとお伝えしました。

国を挙げてワークシェアリングを行い成功したケースに、オランダがあります。

ところが、中小企業でそれを実施しようとしたところで、そもそも従業員の人数が少ない。
元々50人しかいない会社が同じように退職希望者を募れば、全員が手を上げてしまうかもしれません。

どの業界でも不況のオランダ
1980年代のオランダは、「オランダ病」と呼ばれるほどの大不況に見舞われており、どの業界を見ても厳しい状況が続いていました。造船や鉄鋼、繊維をはじめ、多くの業界でロックアウトなどの労働争議が起きていました。

とはいえ、製造業には多くの設備があり、稼動するためには大量の人員が必要です。
むやみにヒトを減らしては事業が成り立つはずもありません。そこでかの国では、国を挙げてワークシェアリングに取り組んだのです。

週に3日勤務,残りは家事手伝い
例えば、週に3日だけ勤務し、1つの工程を2人で分担する。
そして仕事のない日には、奥さんの代わりに家事をしたり、違う仕事をしたりする──。
それが普及した結果、警察官や一部の兵士といった公務員にまでワークシェアリングが普及するという、極めてユニークな国となりました。

人員削除せずに人件費をカットする方法は?
では、従業員を辞めさせずに人件費を大幅にカットする方法はあるのか?
また、1996年の労働法改正ではフルタイム労働者とパートタイム労働者との間で、時給や雇用期間、昇進等の労働条件に格差をつけることを禁じ、2000年の労働時間調整法制定で『労働者が自発的にフルタイムからパートタイムへ、あるいはパートタイムからフルタイムへ移行する権利』および『労働者が週当たりの労働時間を自発的に決められる権利』が定められたことにより、オランダのワークシェアリングは劇的に進みました。

2つ以上の仕事を掛け持ちする人も
オランダでは、今でも2つ以上の仕事を掛け持ちしている人が多く「自分は週の半分だけ勤務すれば充分」という人もいれば、たくさんの子どもを養うために週5日のフルタイムで働くという人もいます。
民間企業に限らず、教師や警察官といった公務員職種も、現在ではパートタイム労働者無しでは成り立たなくなっているとも。
この労働市場改革は「オランダ・モデル」と呼ばれ、オランダは「世界初のパートタイム経済(ワークシェアリング)の国」として名を上げました。

英サッチャー元首相、ワークシェアリングは失敗
実はイギリスでも、マーガレット・サッチャー氏が首相を務めていた時代に、金融不況を乗り切るための対策としてワークシェアリングを試みたことがありました。
しかしこれは、労働者による暴動が起きて失敗に終わっているのです。

なぜ、オランダでできたことがイギリスではできなかったのでしょうか。

それは、イギリスが多くの移民を受け入れている他民族他宗教国家であることに原因があると見る向きが強くあります。
オランダがほぼ単一民族の国家であったためにワークシェアリングによる経済再生が成功したと考えると、ワークシェアリングが日本に向いているとも言えるのです。

[2015.5.8配信]

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