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事業再生の現場から

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(122)「民事再生法が使えない」?!再生とは程遠い、厳しすぎる現実

不動産 民事再生は救世主
赤字に苦しむ中小企業にとって、「民事再生法」はまさに救世主のような存在でした。
この法律が誕生した2000年当時は、私たち事業再生コンサルタントの間でも
「民事再生法は伝家の宝刀」
「とにかく民再に持ち込め」
といった風潮もありました。

けれど、次第にわかってきたのは、この法律にも弱点があり、思ったほど万能ではないということでした。
私たちがそのことに気づいたのは、自分たちが手がけた千葉県における民事再生法の第1号案件の交渉過程でのことです。

民事再生にデメリットが
現在、セントラル総合研究所ではよほどのことがない限り、民事再生法による会社再建を進めることはしていません。
その理由は、この法律には以下に挙げる通り、いくつものデメリットを認めざるを得ないからです。
申請後、万が一裁判で再建計画が認可されなければ、破産となってしまう。
申し立てたら最後、後戻りはできません。

民事再生法にはお金がかかる
この法律の申請にはお金がかかる。
裁判所に納める「予納金」は、負債金額によって変わります。
各地の裁判所によって異なりますが、負債総額5千万円未満で200万円、5千万円以上1億円未満で300万円、1億円以上10億円未満で500万円など、赤字の企業にとっては決して易々と用意できる金額ではないでしょう。

しかも、予納金は前払い。
それが払えないがゆえに、申請を諦める企業も少なくはありません。
お金がないから法律に頼りたいのに、お金がなければ民事再生もできないのが、日本という国なのです。

認められれば債務は大幅カット
取引先の信用を失う可能性もある。
ご存知の通り、民事再生が認められれば債務は大幅にカットしてもらうことができます。
これは、債務超過の企業にとっては大きな助けになりますが、カットされる対象は、利子によって利益を得ている金融機関だけではありません。取引先の債権、すなわち売掛金にも及ぶため、取引先はアテにしていた売掛金を一方的に圧縮されてしまいます。

これは、街頭の取引先が同じように資金繰りに苦しむ中小企業であった場合は非常に大きな打撃。2次破綻、3次破綻をも引き起こしかねません。
その事態を避けられたとしても、被害を被った取引先の信用を失うことは不可避。
再生できたとしても、以降の取引を打ち切られてしまう懸念もあるのです。

[2015.6.9配信]

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