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(147)50年ぶりの法改正で目指せ「下請けいじめ」からの脱却
トリクルダウン効果は期待できない大企業が潤えば、中小の事業者にもその恩恵が時間差を経て巡ってくるという「トリクルダウン効果」も、今やほとんど話題にならないほど実感が乏しいのが実情。
むしろ近年取り沙汰されることの多いのが「下請けいじめ」です。
下請法の一部を見直し
この下請取引の適正化に向け、政府は年内を目途に「下請代金支払遅延等防止法」(下請法)の一部を見直すことを表明しました。
見直しは約50年ぶりのことで、支払手形の期間短縮を促すなど、下請け業者への支払いルールを厳格化するとしています。
・中小企業庁:>発注方式等取引条件改善調査事業
下請け代金の回収はほとんど現金
中小企業庁が実態把握のために実施している「発注方式等取引条件改善調査」では、下請代金の受け取り方法が「すべて現金」と回答した下請け事業者の割合は年々増加。
平成27年度には59.0%に達し、その一方で、手形の利用は減少傾向にあります。
産業によっては手形も
ただ、自動車や産業機械・航空機といった業界では依然、慣例として手形を使用するケースが少なくはありません。
しかも、手形の割引コストはほとんどの場合下請け事業者の負担とされているなど、改善の余地が多く残っているのが実態です。
下請法の見直し:現金で支払うよう要請
こうした状況を踏まえ、今回の下請法の見直しでは親事業者に対して、原則として下請け事業者への支払いを手形ではなく現金とすることを要請。
また、手形を使う場合であっても現金化する際の割引負担料を下請け事業者に押しつけることを抑制し、発注側である親事業者が負担するよう求めるとしています。
手形支払期間の短縮も要請
加えて、手形の支払期間の短縮も要請。
下請法の通達では、支払手形の振出日から支払期日までの期間については、繊維業が90日、それ以外の業種は120日以内と定めています。
このルールは維持しつつ、さらに60日に短縮するよう親事業者に要請する予定です。
適正取引推進のため対象業種も追加
併せて適正取引を推進するための下請ガイドラインについても対象業種の追加を検討。
取引条件の改善に向けた取り組みを推進し、さまざまな業界に自主行動計画の策定を要請していく考えで、サプライチェーン全体での浸透を目指します。
アベノミクスが始まってから4年が経過しようとしていますが、ようやく日本経済の太宗を占める中小零細企業に活気が戻る兆しが見え始めました。
[2016.10.24配信]
☆「事業再生の現場から」過去掲載分(1)〜(146)はこちらから。
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