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(150)実はバブル期並み?!企業倒産の意外な状況とその背景
企業倒産件数:今年度上半期8年連続減少このところ、企業の倒産件数は大きく減少していることはご存知でしょうか。
東京商工リサーチの集計によると、今年度の上半期(4〜9月)の全国企業倒産件数は4,216件。前年同期比3.9%減で、年度上半期としては8年連続での減少となりました。
この倒産件数は、バブル期の平成2年度同期(3,070件)に次ぐ、26年ぶりの低水準です。
まるでバブル期?中小企業は年々厳しい状況
数字上で「バブル期並み」と見えるとはいえ、好景気の力強さは見当たらない・・・と感じる方がほとんどでしょう。
特に中小企業では逆に、年々厳しさを増しているように思われます。
倒産件数減少はリスケ効果
さほど景気がよくなっているようでもないのに、倒産件数が少なくなっている背景には、金融機関が中小企業のリスケジュール(借り入れ条件の変更)に応じていることがあります。
リーマンショックの影響でリスケ実施
リーマンショックの影響による中小企業の倒産を防ぐために、平成21年12月、「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律(中小企業金融円滑化法)」が施行されました。
同法は25年3月末に期限を迎えましたが、金融庁はその後も「金融機関が引き続き円滑な資金供給や貸付条件の変更等に努めるべき」としており、金融機関もそれに従っている状態です。
東商の倒産定義:債務支払不能、企業活動継続困難
ちなみに「倒産」という言葉は、法律用語ではありません。
東京商工リサーチでは「企業が債務の支払不能に陥ったり、経済活動を続けることが困難になった状態を指す」としています。 つまり、借りたお金を返せなくなったら倒産と見なされるということです。
逆に言えば、何年も赤字が続いている企業でも、資金繰りの都合がついているうちは倒産することはありません。
リスケ中の企業:30〜40万社
中小企業金融円滑化法を利用している企業は全国に30万〜40万社あると言われていますが、倒産件数の少なさはこれらの中小企業が「延命されているだけ」であるという見方もあります。
中小企業の使命:事業と雇用を守る
しかし、事業と雇用を守るため、しぶとく生き残ることこそが中小企業の命題。
延命の機会を得ている今こそ、状況改善の好機です。ただ漫然とリスケジュール期間を過ごすのではなく、「何を守り、何を残すのか」といった精査を行い、業績回復ためのスキーム構築に積極的に取り組んでまいりましょう。
[2016.12.8配信]