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(162)資金調達の前に要確認!〜回収リスクと償還請求権
ファクタリングには様々な手法があるファクタリング取引の会社を検討する際に、まず気になるのが
●手数料・掛目等の総コスト
●いつ(何営業日後)までに資金化できるか
●相手先の信用度
といった点かと思われます。
ただ、一口に「ファクタリング」といっても、実は次のように様々な方法があります。
〔1〕売掛金を譲渡して資金を得る方法
〔2〕売掛金を担保として融資を受ける方法
〔3〕売掛金の代金回収を保証する方法
「償還請求権」の有無で資金調達が変わる
このなかで、実際に売掛金を売却して資金調達するのは〔1〕の取引だけです。
しかし、現状「ファクタリング」と謳われている取引には〔2〕や〔3〕のケースも多いのが実態です。
特に銀行がファクタリングとして行っている取引のほとんどは〔2〕の取引です。
この違いは「償還請求権」の有無にあります。
償還請求権:支払い請求権
償還請求権とは、ファクタリング会社に譲渡した売掛金(売掛債権)が、売掛先の倒産などにより入金が無かった場合、ファクタリング会社が利用者に対して、支払いを請求する権利のことをいいます。
売掛金の回収リスク(貸倒リスク)を、利用者とファクタリング会社のどちらが負担するか・・・ということです。
回収リスクも
つまり、償還請求権があるファクタリングの場合、支払期日の前に売掛先が倒産してしまったら、その代金を売掛元であるファクタリングの利用者が支払わなければならないのです。
この、回収リスクがファクタリング会社に移転せず、利用者が回収リスクを負担することを「償還請求権あり(ウィズリコース)」といいます。
逆に、回収リスクがファクタリング会社に移転し、利用者の回収リスクが無くなることを「償還請求権なし(ノンリコース)」といいます。
複償還請求権ありが一般的
これまで、ファクタリングでは償還請求権ありの取引が一般的でした。
このような条件のあるファクタリングは債権の「買取り」というよりも、実際は売掛金を担保とした「譲渡担保融資」となっています。
このため売掛先が倒産して回収が不可能になった場合、ファクタリング会社が償還請求権を行使して、不良債権化した売掛金の支払いを請求できるのです。
売掛先が倒産したら
せっかくファクタリングで資金調達ができたとしても、売掛先が倒産した場合には売掛元がその代金を支払わなければならないというリスクがあるとしたら、おいそれと債権を手放すことはできません。
償還請求権なしのファクタリングは支払う必要なし
一方、償還請求権なしのファクタリングでは、譲渡担保融資ではなく売掛債権売買取引になるため、もし売掛先が倒産して資金が回収できなくても、お金を支払う必要はありません。
売掛金の未回収時に一切お金を負担する必要がないという点こそ、償還請求権なしのファクタリングの最大のメリットです。
[2017.6.7配信]