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産業活力再生特別措置法(産活法)について
【1999年 施行】 1999年10月、産業活力再生特別措置法(産活法)が施行されました。企業が生産性の低い部門から高い部門へ経営資源をシフトさせ、事業再構築を促すことを目的とした法律です。企業が合併、過剰設備の廃棄など一定条件を満たす「事業再構築計画」を主務大臣に提出、認定されると、税制上の優遇措置、商法上の手続きの簡素化、政府系金融機関による低利融資などの支援措置が受けられます。
1999年施行の法律では、個別企業全体の生産性向上を図る「事業再構築計画」が支援の対象となっていたため、企業提携を伴う業界再編や事業単位の再生には、充分な対応ができませんでした。
【2003年 改正】
そこで、2003年4月に同法の改正法が施行されました。改正法では、旧法が定める認定制度の他に、新たに3つの認定制度が新設され、認定制度は合計6つとなりました。
@「事業再構築計画」
A「経営資源再活用計画」
B「共同事業再編計画
C「事業革新設備導入計画」
D「技術活用事業革新計画」
E「経営資源融合計画」
新たに認定制度が追加されたため、支援メニューが大幅に拡充されることとなりました。旧法の認定を受けた204件の計画のち、大企業が7割以上を占めましたが、改正法では、中小企業の支援も強化されました。支援対象が広範であるうえに、税制や商法の特例も充実しています。
【2007年 改正】
産活法は、2007年、更に改正されました。大きく分類すると以下の4つの支援措置が定められました。
@生産性向上を目指す事業者の計画認定
・会社法や税制の特例などで政策支援を実施
A中小企業の資金調達支援
・再挑戦支援保証により中小企業の資金調達を支援
B事業再生の円滑化
・各都道府県に1つずつ設置された中小企業再生支援協議会を通して地域性の強い中小企業の事業再生を支援
C知財の活用促進
・特許権の実施権者の保護のための登録制度を新設
【2007年改正の特徴】
産活法では、債権放棄を受ける予定の企業でも、「事業再構築計画」「経営資源再活用計画」「共同事業再編計画」がそれぞれ前向きな事業改革であれば、支援の対象となります。だだし、債権放棄を含む計画が円滑かつ確実に実施されるかどうかを判断するために、通常の認定手続き以外に追加の書類提出が求められます。
「経営資源再活用計画」の認定を受けた企業が中小企業である場合、日本政策金融公庫から2009年3月31日まで低利融資を受けることができます。
【2011年 改正】
経済産業省は、グローバル市場での国際競争力を強化を目的に、産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法の一部を改正、2011年7月1日施行されました。新興国をはじめ海外市場において「高品質」や「単品売り」から「機器とサービスの組み合わせ」など、需要の変化により迅速に対応するため、資金調達などの支援を行い、民主導の戦略的な産業の再編を促します。産活法改正によりベンチャー企業など成長企業による新事業展開や、中小企業の体質の改善・強化などを後押しします。
@事業再編などの重要性を踏まえた仕組みや資金調達などの支援
●事業統合など迅速に図るため、公正取引委員会との関係強化
主務大臣から公取委への「協議」を義務づけ、産業政策と競争政策の連携を強化することにより、グローバル競争の激化に対応した、迅速な産業再編が円滑化されます。
●会社法の特例による組織再編手続きの簡素化、多様化
90%以上の株主が公開買付けに応じた場合、株主総会が開催不要になるなど完全子会社化への手続が簡素化され、手続が3ヶ月程度迅速になります。
●事業再編などを行う事業者に対し、事業に必要となる低利・長期資金を供給する仕組み(ツーステップローン)の創設
日本政策金融公庫が、産業再編を行う事業者へ融資を行う指定金融機関(民間金融機関)へ、財政投融資資金を原資とする長期・低利の貸付け(二段階融資)を実施し、1,000億円を供給します。
Aベンチャー企業、地域中小企業の支援
●ベンチャー企業、地域中小企業など成長企業への融資に対する債務保証を創設
経済成長を遂げる海外市場にベンチャー企業などの設備投資に対し、民間金融機関が行う融資について債務保証を行なうことで円滑に投資が行われます。
●事業を引き継ぎを通じた地域の技術や人材の有効活用を支援(引継を希望する企業同士引き合わせ支援)
(1)事業引き継ぎ支援体制の整備
・全国に設置される支援機関の業務に引き継ぎ支援業務を追加し支援センターを設置
・同センターに専門家を配置し守秘義務を遵守
・引き継ぎ希望企業間の仲介及び契約成立に向けた支援の実施
(2)事業引き継ぎに係る金融支援等の措置
・信用保健法の特例(普通保険・無担保保険の別枠化など)
・投資育成株式会社法の特例(対象者の拡大)
・小規模企業設備導入資金助成法の特例(貸付割合の上限引き上げ)
・許認可の承継円滑化(手続きを簡素化)
▼社内勉強会:産業活力再生法(産活法)改正:M&A手続き簡素化
[2011.7.15更新]