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事業再生関連法規制度等について

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産業活力再生法(産活法)改正:M&A手続き簡素化

大企業しか運用できない改正に不満も

産業活力再生法(産活法)設備の過剰、雇用の過剰、債務の過剰――。企業が抱えるこれら「3つの過剰」の解消を後押しするために、平成11年、産業活力再生特別措置法が施行されました。「産業再生法」や「産活法」などと呼ばれ、企業が生産性の低い部門から高い部門へ経営資源をシフトさせ、事業の再構築を促すことを目的としています。平成11年、施行後、平成15年、19年、21年の改正で徐々に企業への支援は拡充されてきました。
支援措置を希望する企業に対して、収益改善の見通しや合併などM&A、過剰設備の廃棄などの一定条件を満たすリストラ方針を明記した事業再構築計画の提出が義務付けられています。所轄大臣がこれを認定すれば、税制上の優遇措置、商法上の手続の簡素化、政府系金融機関による低利融資などの支援措置が受けられることとなります。
平成21年の改正では、公的資金を活用した一般企業への資本強化策が盛り込まれ、認定を受けた企業に対して日本政策投資銀行が優先株や、優先出資証券を引き受ける形で公的資金を投入するという支援策も示されました。
しかし当時の改正に際して要点のひとつに「中小企業の事業再生支援の強化」を掲げていたものの、この資金供給については条件が厳しく、「大企業しか運用できない」という不満が多く聞かれました。大企業の倒産による大量失業や連鎖倒産の防止のための非常処置として理解できないことはありませんが、大企業の申請が優先されるということには不公平を感じずに居られなかったのが本音です。

改正案:地域中小企業活性化を支援

政府は平成23年2月10日、この産活法の改正案を閣議決定しました。経済産業省は改正案提出にあたり、「競争が激化するグローバル市場において、企業が国際競争力を強化していくための産業再編を支援するとともに、ベンチャー等の成長企業による新事業展開や地域中小企業の活性化を後押しする」としています。改正産活法案のポイントは以下のとおりです。
(1)民主導の戦略的な産業再編等促進
   ・公正取引委員会との協議制度の創設
   ・会社法の特例による組織再編手続きの簡素化・多様化
   ・産業再編等を行う事業者に対する長期資金の低利融資制度(ツーステップローン)の創設等
(2)ベンチャー・地域中小企業等支援
   ・ベンチャー、中堅企業等の成長企業への融資に対する債務保証
   ・事業の引継ぎを希望する中小企業どうしの引き合わせ支援など

国境を越え、企業の競争力向上へ

経済産業省や国土交通省など業界を所管する省庁は、海外市場の動向や代替製品の開発状況についての情報を公取委に提供。公取委への資料提出、説明にかかる企業の負担を軽くするとともに、審査の迅速化を目指します。また、再編を進める企業に融資するため、財政投融資資金から1,000億円を確保。会社法の特例として、出資比率90%以上の株主による完全子会社化の手続きも簡素化するようです。これが可決、成立すれば、企業間の競争が国境を越えて繰り広げられ、国内企業が迅速にM&Aに対応、競争力を向上させることが可能になります。
海江田経済産業相は閣議決定後、「法案の趣旨に沿って支援していく」と述べ、国内企業の再編促進に意欲を示しています。今回の産活法改正が中堅・大企業にとどまらず、中小企業全てに活力を与えてくれることを強く期待しています。

▼関連記事:ブログ・時事ウォッチ:「新日鉄・住金のM&A公取委が障害?:産活法改正で国際競争力強化/シェア奪還」

[2011.2.23更新]

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