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事業再生関連法規制度等について

社内勉強会

中小企業金融円滑化法終了後のサービサー(債権回収会社)の動向

サービサー:金融機関などから債権を譲渡され債務者から債権を回収

中小企業金融円滑化法が平成25年3月末で打切りとなり、金融機関などから債権管理回収業務を委託、譲渡され、債務者と債権回収業務にあたるサービサー(債権回収会社)の動向が注目されます。
サービサーは、特定金銭債権の管理回収を行い、法務相から許可を得た民間の債権管理回収の専門業者。日本はこれまで弁護士法により、この業務は弁護士以外は禁じられていましたが不良債権の処理などを促すため、平成11年に「債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)」が施行。弁護士法の特例として民間のサービサーの設立が承認されました。


金融機関:譲渡額を割り引かれてもサービサーへ譲渡し自己資本率の低下を防御

金融機関などは、サービサーに回収業務を譲渡することにより、不良債権をバランスシート(貸借対照表)から外すことができ、自己資本率の低下を防ぐことができます。ただし、サービサーへの譲渡額は元本から割り引かれ、その差額分は金融機関の損失となるものの、金融機関にとっては不良債権を保有し続けるより損失を確定させ、早期に健全化を図るなど経営上の理念がはたらいています。
サービサー法施行時には7兆円ほどだった債権取扱高はピークの平成17年には約35兆円に上りました。その後、平成20年のリーマンショック以降、翌平成21年には金融機関へリスケジュール(条件変更)の努力義務が課せられた中小企業金融円滑化法が施工。中小企業の資金繰りは支援される一方、サービサー業界では企業の不良債権の取扱いが減少。現在まで収益環境が厳しい状況が続いています。


サービサーの取扱件数、取扱い債権額、回収額とも円滑化法施工以降減少

法務省が平成25年4月12日に公表した「サービサーの業務状況」によると、平成24年12月31日現在、サービサーの営業会社数は96社。平成24年通年の取扱件数は958万件で前年比で20.4%減。中小企業金融円滑化法施工時からは29.0%減と約3割減少しました。取扱い債権額も17兆9,000億円と同法施行時から33.0%減。回収額でも2兆3,956億円と同27.3%減となっています。
同法による金融機関へのリスケジュールなどの努力義務や、コンサルティング機能の強化義務により中小企業などは体力温存、経営改善への猶予が与えられる一方、サービサーを取り巻く状況は一層厳しい状況が続いています。

円滑化終了でも先行き不透明、業界では手数料の低下、競争激化で買取り価格も上昇

サービサー各社から法務省へ寄せられた今後の見通しでは、中小企業金融円滑化法終了後も金融庁では中小企業の金融支援で対応をかえない方針を示すことから金融機関などからの債権譲渡は不透明な状況としています。現状は、受託手数料の低下やサービサー間の競争激化による買取り価格の上昇など先行きも厳しいなか、政策や金融機関へのガイドライン監督指針の動向を注視し、様々な企業再生ニーズを取り組むとしています。


民間サービサー:震災後に88億円を放棄

東日本大震災のあった平成23年には、横浜のサービサー・栄光債権回収株式会社が震災の2ケ月半後の6月1日、震災被害があまりに甚大で一刻も早い被災者の負担軽減が必要と判断。被災地域の債権1,414件、総額88億5,674億円を放棄することを発表。もたつく政府を横目に債務者からの依頼なく自ら債権放棄を決め、被災企業、被災者の復興を後押ししました。取扱額18兆円弱と巨大市場でありながら報道されることの少ないサービサー業界に不良債権の処理の裏には中小企業など企業再生の顔も見せています。


被災3県の債務総額は1兆円超え

金融庁が平成25年4月26日発表した「東日本大震災以降に約定返済停止等を行っている債務者数及び債権額について」によると、平成25年1月末時点の被災3県(岩手、宮城、福島)の約定返済を停止している債務者数は555件、債務額は172億円。さらにリスケジュールなど契約締結した債務者数は、23,123件、債務額は1兆1,229億円に上ります。
震災から2年以上が経ち依然、既往ローンなど被災企業、被災者は今後どうなるのか不安材料となっています。進まぬ国の債権回収機構に立ち上がった民間サービサー。机上での法令やしくみだけの整備では復興は進みません。

[2013.5.1更新]

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