初めての方へ資金調達債務返済、債務超過不動産リースバック

TOP > メールマガジン > 事業再生の現場から > (139)コンサルの助言に聞く耳持たず〜

事業再生の現場から

(139)コンサルの助言に聞く耳持たず〜事業再生を阻んだ「ガン」は社内にあった〜「事業再生の現場から

ホテル役員は経営の実態知らず

事業承継メインバンクからの出向で経理担当役員を迎えた東北某市の老舗ホテル水明閣(仮称)。
しかしその役員はホテル経営についての知識は殆ど持っておらず、状態は悪化する一方でした。

営業にかかる経費を必要以上に削減し、宿泊客へのサービスも低下。
リピーターは減り、評判も落ち・・・これで売上が伸びるはずはありません。

メインバンクには平身低頭
そして最悪なのは、元から務めていたホテル従業員たちが「メインバンク出身の役員」に平身低頭して、自分たちの仕事の本質を見失っていたことです。
「この人に頼っていればなんとかなる」
と勘違いして、サービスの低下にも何の異議を申し立てることもありませんでした。


「この状態では再生できません」

セントラル総合研究所のコンサルタントが
「この状態では再生できません」
と懸命に説明しても聞く耳を持たず、結局、危機を感じてセントラル総合研究所に相談にみえた経営者は社内で孤立。
もちろん、裏で経理担当役員が糸を引いていることは明白でした。


コストカットこそが最善!?

この役員は、自分が今いる会社(借り手)の水明閣ではなく、いつか戻るであろう金融機関(貸し手)の方ばかり見て仕事をしていたのです。
とはいえ、従業員たちにはそうとは語らず
「コストカットこそが最善であり、水明閣のためである」
と誑かし、その裏で自分の出身の銀行への返済を最優先させていました。

実は、同じ再生スキーム(枠組み)とはいっても、金融機関すなわち貸し手側が考えるものと、私たち再生コンサルタントが考えるものとでは、内容が全く異なります。


金融機関は最大回収を考える

金融機関は、まず「どうしたら債権を最大限回収できるか」ということを考えます。
これを「極大回収」といいますが、貸し手側はこれを前提に再生計画を立てるのです。

たとえ3億円、5億円と多額の借り入れがあったとしても、長期的に返済していけば雇用も守れるし、生き残ることができるはず。
それを7年、あるいは10年で返せと言われてしまうと、これでは体力がもちません。


法的処理を迫られる企業はたくさんある

売上は上がっていても、利息を含めた返済が重荷となって耐え切れない…というケースもあります。
そんな無理の多い再生計画を押しつけられた結果、破産や民事再生など、法的処理を迫られる企業が、世の中にはたくさんあるのです。

目の前に現れた人物が救世主であるとは限りません。
差し出された再生計画は本当に事業継続のために練り上げられたものか?
甘言を鵜呑みにするのではなく、経営者自身が吟味することが必要です。


[2016.2.26配信]

ページトップへ