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事業再生の現場から

(151)損益計算書の落とし穴/「●●倒産」に気をつけろ!

赤字でも雇用維持が重要

前回は、国内の企業倒産の件数が減少し続けているということをお伝えしました。
赤字が続いていたとしても、倒産せずに事業と雇用を守ることが重要とも。

赤字でなく黒字倒産も
ただし「赤字など出してはいない」という企業であっても、うかうかしてはいられません。 「黒字倒産」という言葉もあります。
損益計算書上損益計算書上では黒字の状態にもかかわらず、債務の返済ができずに倒産することです。
「勘定合って銭足らず」という慣用句そのままの状態です。

利益出ても資金不足?
利益が出ているのに資金が足りない…というと「売掛金の回収までの資金繰りの問題なのか」と考える人がいるかもしれません。
それであれば、銀行も待ってくれるはずです。
ではなぜ銀行が待ってくれないのか?
それは黒字倒産する企業の多くが、損益計算書上では黒字でも、実際のキャッシュフローが回っていないためです。

商品は売れた時点で計上、仕入れ金は先
たとえばポイントの一つが商品の在庫です。
損益計算書では、仕入れにかかった費用は商品が売れた時点で計上します。(このため、「売上原価」と呼びます)
ところが、実際のビジネスでは、仕入れた商品は売れようが売れまいが、買った時点(あるいは一定の期日後)に代金を支払わなければなりません。

過剰な在庫は倒産の要因に
2000年代後半、中堅の不動産デベロッパーが数多く黒字倒産しました。その原因の多くが、過剰に在庫を抱えすぎていたことと言われています。
銀行から借り入れをして土地や建物を仕入れたにもかかわらず、開発した物件が売れず、大量の在庫となっていたのです。

仕入れ代金、借入金を見逃すな
損益計算書では、売れた分の原価と利益しかわかりません。
売れていない分の仕入れ代金や借入金などが巨額になっているにもかかわらず、それを満たす売り上げが無かったのです。

勘定合って銭足らず
「勘定合って銭足らず」となる例がほかにあります。それが「減価償却費」です。
設備、建物などを購入した際は減価償却費を計上できます。
これと諸経費などを引いたうえで損益計算上プラスになれば黒字ですが、購入の際に借入を行った場合の元金の返済が減価償却費を上回ると、利益が出ているのにもかかわらず、資金が不足するという状態になります。

将来のキャッシュフローをチェック
企業経営者などが「勘定合って銭足らず」を防ぐためには、損益計算書でだけでなく、将来にわたるキャッシュフロー計算書をチェックすることが大切なのです。


[2016.12.26配信]

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