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事業再生の現場から

(155)倒産減少の裏で、民再企業の7割が消滅!「倒産」イメージの払拭が課題

民再申請適用後の厳しい実情

国内の景気回復を受け、企業倒産が減少傾向にあることを前回はお伝えしました。
ところがその一方で、民事再生法を選択した企業の再生が非常に厳しいという実情が浮き彫りとなっています。
東京商工リサーチの調査によると、民事再生法を申請した企業の約7割が消滅しているというのです。

民再申請9,4千社中、進捗企業は7,3千社
東京商工リサーチは、過去に民事再生法を申請した法人を追跡調査し、その結果を1月13日に発表しました。
対象は平成12年4月1日から28年3月31日までに、負債1,000万円以上を抱えて民事再生法を申請した法人9,406件(法人、個人企業含む)のうち、進捗が確認できた7,341件です。


企業倒産22.3万社のうち民再申請企業は4.2%
同期間(平成12〜27年度)の総倒産件数(法的倒産と私的倒産の合計、個人企業含む)は、22万3,596件。 このうち民事再生法は9,406件で、総倒産件数に占める割合は4.2%でした。
年度別で構成比が最も高かったのは平成20年度の5.2%(854件)、最も低かったのは27年度の2.7%(242件)。
民事再生法の申請件数はリーマン・ショック後の21年度から7年連続で減少し、27年度は同法施行後で最少件数を記録しました。

民再進捗企業の7割以上は事業消滅
調査対象企業7,341社のうち、平成28年8月末時点で事業継続を確認できない企業(消滅企業)は5,205社あり、全体の7割以上(70.9%)を占めました。
事業継続を継続している企業(生存企業)は2,136社で、全体の約3割(29.1%)にとどまっています。

消滅した5.2千社の内訳は・・
消滅した5,205社の内訳は、合併が3.6%、解散が11.9%、破産が36.6%、特別清算が0.6%、廃業や休業、存在が確認できないものが47.1%。
民事再生「終結」前に消滅した企業は42.5%、民事再生「終結」後に消滅した企業は57.4%で、民事再生の「終結」で裁判所の監督が外れてからの消滅が6割近くを占めています。

民事再生法:監督委員が3年監督
民事再生法では、裁判所から選任された監督委員が計画の履行を3年間監督し、その3年を経過すると監督を外れ、債務を完済していない企業も「終結」となります。
企業の消滅時期をみると「終結前」に消滅した企業は42.5%で、「終結後」に消滅した企業は57.4%でした。
計画の3年を経過して再生に取り組む企業は多いものの、倒産のマイナスイメージを払拭できない企業も多く、経営改善は難しいケースが多いと東京商工リサーチは指摘します。

容易ではない民事再生法
民事再生法の間口は広く見えるものの、債務を弁済しながら事業を継続する企業は決済条件や資金調達、営業面で厳しい制約があり、再建は容易ではありません。
金融機関のみならず、顧客や取引先など周囲の支援を得るためには、過去の問題を堅実にクリアしつつ、さらなるイメージアップに努めることが求められます。


[2017.2.23配信]

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