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事業再生の現場から

(161)債権の評価を上げる「債権譲渡登記」〜その必要性と注意点

売掛先の信用力を重視

債権譲渡登記一般的にファクタリングでは利用者よりも売掛先の与信力が重視されるということは、前回お伝えしました。
ただし、売掛先への通知が不要である2社間ファクタリングの場合は、利用者側の信用度の高さも、売掛債権の評価と大きく関わってきます。

2社間と3社間ファクタリング
3社間ファクタリングの場合は、売掛先からファクタリング会社へ直接入金されるので問題はありません。
ところが2社間ファクタリングの場合は、売掛金はまず利用者に入金され、そのお金を利用者がファクタリング会社に渡すという流れになります。
この場合、売掛金が入金された後に利用者の会社が倒産してしまうというリスクもあるわけです。

評価の高い債権でも倒産すれば何もなし
いくら評価の高い売掛債権であっても、ファクタリング会社の手に渡る前に利用者が倒産してしまったのでは元も子もありません。
このため、ファクタリングを利用する会社の信用度も重要になるのです。
また、売掛債権の譲渡登記が可能であれば、債権の所有者がファクタリング会社であることが公式文書に明記されるため、債権の評価も高くなります。

ファクタリング会社は債権移行を告知
ファクタリングでは売掛金という債権を売って現金化する取引によって、債権譲渡が行われていますが、ファクタリング会社は自社に債権が移行したことを、売掛先や他の債権者に知らせておかなければ、確実に債権が回収できない可能性もあります。
このため債権譲渡が行われたことを、主に次の3つの方法のうちのいずれかで知らせます。

売掛先に内容証明郵便を送って通知する債権譲渡登記を行い、証明書を送付して通達する売掛先に債権の譲渡に関して承諾をもらう

複数のファクタリング会社に同じ売掛を売却する危惧
3社間ファクタリングの場合、いずれの方法をとっても問題はありませんが、売掛先の承諾を得なければ契約は行われません。
一方、2社間ファクタリングは、売掛先に知らせずに債権の譲渡を行うことになりますが、ファクタリング会社が最も危惧することが、利用者が複数のファクタリング会社に同じ売掛金を売却してしまうことです。

債権譲渡登記は複数売却の防止
資金繰りに困った経営者が複数のファクタリング会社に同じ売掛債権を売却した場合、それぞれが売掛金の所有権を主張することになりますが、法的な証拠がなければ主張が認められません。
このような事態に陥らないために、債権譲渡登記が行われるのです。

ファクタリングにより融資に影響も
なお、債権譲渡登記は法務局に登録されて公開情報となるため、2社間ファクタリングを行ったとしても売掛先に知られる可能性が生じます。
また、金融機関へ融資を申込んだ際に債権譲渡登記を確認され、融資の判断に影響が及ぶ可能性もあるので、注意が必要です。


[2017.5.23配信]

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