初めての方へ資金調達債務返済、債務超過不動産リースバック

TOP > 再生事例 > 株式会社松村家具

再生事例

株式会社M家具

*社名、名前、場所は仮称です。

競売を迫られ活力がなくなった社長
  日本の家具業界は4兆円産業といわれています。今後も団塊世代の定年を迎え、退職金に後押しされるように「家中心の生活」を楽しむセカンドライフに、リフォームや住替え、家具の買替えなどの需要が見込まれている。リビングやキッチン、寝室など家具やカーテン、自分好みの快適な生活を求めるようになるでしょう。

再生事例株式会社松村家具(仮称)は長野市(仮)で日本風家具の販売を行っています。創業35年以来、落ち着きのある日本家具と評判になり、地元の個人宅を中心に売上を伸ばし14年前、隣接する須坂市(仮)にも新店舗を出店しました。出店当初は折り込みチラシの効果もあって新しい顧客もつき、本店同様に順調に売上を延ばしてきました。しかし、数年前から住民の高齢化、若いニューファミリーの地元離れ、さらに景気の不況から売上が減少、金融機関から借入の返済が遅延がちになってきました。

松村家具は、先代の時代の設備投資や、在庫の資金調達で金融機関から1億3000万円の借入れが残っています。セカンドライフ需要に、松村家具松村社長(仮名)には以前から考案していた販売戦略があるものの、この不況の中ですぐには売上回復は望めないと相談にやってきました。金融機関から競売を強く迫られていたため、松村社長はげっそりとした表情。活力が感じられない窮地に追い込まれていた姿をコンサルタントの前に晒しました。

営業に専念、経営悪化に気づかない
  何度かの面談と現地での店舗、地域調査を繰り返し、デューデリジェンス(財務、不動産精査)で得た結果は、現状の売上からは2店舗での経営が成り立たないことを把握しました。
松村社長の人脈で事業を受け継いでからは店舗も拡大してきましたが、会社の資金繰り、経理は家族にすべてを任せていたのです。営業に専念してもらおうと家族も慣れない経理をした結果、松村社長は債務返済が遅延になるまで会社の悪化した財務状況に気づかなかったのです。

リスケジュールで体力を蓄える
 松村家具は店舗の縮小、従業員のリストラをも伴う改革が早急に必要でした。再生事例コンサルタントと一緒に事業計画書を作り上げ、まず社長の自宅と2店舗が担保になっている金融機関へリスケジュール(返済条件の変更)の交渉を行ないました。金融機関へは、月々の返済額を抑えたプランへの変更を依頼。さらに須坂市の店舗をテナントで貸し、その収益で返済をすることを金融機関に了承してもらいます。

当時、須坂市の店舗は立地もよく駐車場も広かったため、テナントはすぐに見つかると確信したからです。ここで時間を稼いでいる間に、リスケジュールで体力を蓄え社長が考案していた販売戦略によって本店での本業を再生させていきます。

ページトップへ

業務提携で事業内容を拡大
  計画通りすぐに須坂市店舗のテナント契約が決まり、月々のテナント収入から金融機関の返済に、残りを事業資金として蓄えていきます。ただし、テナント収入がなくなれば金融機関から再び競売の声も上がる可能性もあるので、売却も考えておかなければなりません。

松村社長はリフォーム会社と提携、二世帯住宅の多いこの地域の特性を生かしたリフォームプランや、セカンドライフに絞った提案型パンフレットを制作。新しい顧客開拓にリフォーム会社社長とともに営業に励んでいます。今までの店頭接客販売に加え、積極的に外へ営業へ出かけることによって、少しずつですが法人などの契約もとれるようになってきました。
2年間、金融機関への返済猶予の間にリフォーム、家具の買換え契約件数も増えて、以前ほどの売上はないものの事業は安定してきました。

事業再生に関するご相談はこちら



事業を子へ承継していく
  松村社長はかねてから子供に事業承継をしたいと考えていましたが債務が残っているために話がなかなか前へ進みませんでした。そんな時、松村社長は再び相談に訪れてきました。
相談を受けたコンサルタントはすぐに「会社分割」が頭に浮かびました。資金繰りが苦しい時、事業を再生させたい時、会社分割という方法は有効な再生スキームですが、松村家具のように債務はあるが子供に事業を承継したい場合でも、会社分割は有効なスキームの一つです。
現状の売上に対する債務額をみればすぐには到底返済できる額ではありません。そこで会社分割で子供を社長に据えた新しい会社、株式会社TFファニチャー(仮称)を設立し、テナントで貸している須坂市の店舗で事業をスタートさせました。

ページトップへ

モラトリアムを利用
  再生事例松村家具は現状のまま本店で事業を継続、2年猶予していた金融機関への返済も終わり、再びコンサルタントとともに事業計画書を作り金融機関への交渉へ出向きました。リフォーム会社提携による業務内容拡大、そして収益増大計画や提携後のこれまでの実績など金融機関へ説明。モラトリアム法(中小企業金融円滑化法)が施行されるときでしたのでひそかに期待をし数週間待った後、金融機関から松村社長へ連絡が入りさらに3年、条件変更に応じてくれたとのことでした。毎日遅くまでメールや電話で計画書を作り上げた松村社長とコンサルタントの努力が実ったのです。
TFファニチャーとは業務提携会社としてともに事業を継続する。松村家具は金融機関への返済を続けながら、顧客を少しずつTFファニチャーへ移行し、事業を承継していきます。

自宅にこのまま住み続けたい
  松村家具の金融機関への返済が滞れば、自宅や店舗の競売の話が再び金融機関から浮上します。松村社長は常づね自宅だけは手放したくないといっていましたので平行して社長の自宅を守る施策を立てておかなければとコンサルタントは考えていました。
事業再生においてすべてを救うことは不可能です。本店も、支店も、自宅も守り今まで通りの生活をしたいという希望をかなえることはできません。すべてを守ろうとすればすべてを失う結果にもなりかねません。

コンサルタントは松村社長の希望である自宅を守ることを第一に考え協力的な第三者を探すように松村社長にお願いしていました。 TFファニチャーに事業を譲渡していくことで松村家具の収益は減少していきます。以前のような売上がなくても夫婦二人で好きな家具の仕事をして生活を維持できればいいのではと、コンサルタントと話し合い本店の売却を考えていきます。
金融機関に了承をもらい自宅は協力的な第三者に売却、毎月購入者に家賃として一定額を支払うリースバック方式です。事業を続け収益が上がればまた購入すればいいのです。

今後の松村家具の展開
  TFファニチャーは店頭や外への営業、そしてネットでの会社紹介を積極的に行っています。施行した家具、リフォームの事例を、ビフォー、アフターでわかりやすく表現し、その違いのすばらしさを体験してもらっています。ネットでは少しずつアクセスもあがり、市内はもとより近隣県からの問合せも増えてきているようです。
松村家具は急激に売上を伸ばすことよりもL時回復を目標にTFファニチャー協力し合い手堅く事業を継続しています。
コンサルタントは松村社長に言います。「今は仕事ができることを喜びとしてください」と。

[2010.7.31更新]

事業再生に関するご相談はこちら



ページトップへ